2020年1月10日(金)から全国公開された『パラサイト 半地下の家族』。

第72回カンヌ国際映画祭で、韓国映画として初の最高賞“パルムドール”に輝いたことで大きな話題を集めた。

“パルムドーム”といえば、2018年に『万引き家族』が日本映画として21年ぶりに受賞するという快挙を遂げたことで有名である。

今回、まだ『パラサイト 半地下の家族』を観賞していないStartHome読者の皆様に向けて、StartHome新編集部員がオススメする韓国の名作映画ベスト3をご紹介!

ネタバレ厳禁!『パラサイト 半地下の家族』

●「パラサイト」とはどういう意味?

パラサイト=parasite は「寄生生物」という意味。

● 『パラサイト 半地下の家族』のあらすじ

映画『パラサイト 半地下の家族』は、韓国社会の貧富の格差を題材とした物語だ。

家族4人が全員失業してしまい、韓国国内でも最も貧しくなってしまったキム一家と、某IT企業CEOの大富豪であるパク社長一家が主人公。

大学受験を三浪した長男息子キム・ギウと妹キム・ギジョン、無職だけど和気あいあいの両親。キム一家は韓国の狭い地下室でピザボックスを組み立てることで生計を立てていた。

そんなある日、海外へ留学する予定の友人がキム一家を訪ね、自身のアルバイト先であるパク家の一人娘パク・ダヘの家庭教師の仕事を長男に紹介する。

大学への進学さえできていないギウは、大学の在学証明書を偽造し、英語の家庭教師としてパク家の豪邸へ「寄生」することに成功する。

間もなくギウの妹ギジョンや彼らの両親も社長一家へ「寄生」していき、見事にキム一家はパク家の豪邸へ寄生するが、時が経つにつれて、パク社長一家以外に隠された大きな秘密が次々と浮かび上がってくる。

全世界が興奮したゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』

韓国では既に第2弾上映が決定している(2020年夏)超ヒット大作が『新感染 ファイナル・エクスプレス』だ。

●『釜山行』と『新感染 ファイナル・エクスプレス』、2つのタイトル名の違いとは?

韓国での作品タイトル、つまり原題が『釜山行」、日本公開時のタイトルが『新感染 ファイナル・エクスプレス』である。

既に『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編はクランクアップを迎えている。2作目では「半島」が映画タイトルに含まれ、感染者たちに立ち向かう人々の姿が描かれるようだ。

● 『新感染 ファイナル・エクスプレス』 のあらすじ

証券会社の基金管理人とて働く仕事人間、ソグ(コン・ユ)は妻と離婚し、一人娘のスアンと暮らしていた。スアンは自分のことしか考えない身勝手な父親に対して失望し、自身の誕生日に父親へ「お母さんのいる釜山へ行きたい」と話す。

一度は断ったソグだが翌日に考えを改め、スアンと一緒に母親の元へ向かうため、釜山行の高速列車に乗り込んだ。

時を同じくして、都市のあらゆる場所で極めて不審な暴動事件が発生していた。人間がゾンビになってしまうパンデミック現象が原因だったが、政府は街中でゾンビが暴れていることを隠蔽しようとする。

しかし何も知らないスアン、ソグ親子が乗車した釜山行の列車に一人の感染者が乗り込む。何も知らない列車の乗客たちはゾンビの到来で大パニックに陥り、乗客たちは次々とゾンビに虐殺されていく。

やがてゾンビに殺されたことで新たなゾンビへとなった乗客の数は、列車の中で爆発的に増加。

あらゆる安全地帯への入り口が政府の軍隊により閉鎖されてしまい、狭い空間の中で生き残った乗客たちは、列車内で必死でゾンビから逃げ回る。

果たして釜山行の列車内に取り残された全乗客の運命はいかに?

『トガニ 幼き瞳の告発』

●韓国世論が激震!韓国国内で実際に発生した劣悪な性犯罪事件に基づいた映画作品。

韓国の作家「孔枝泳氏」が実際に事件を取材し執筆した、映画タイトルと同名の『トガニ 幼き瞳の告発』という小説が原作。

●映画の題材となった実際の事件

2000年から2005年にかけて、韓国のとある聾学校で校長や教員が生徒の少女らに対して性的暴行を行うという事件が発生した。

当初、韓国国内では事件に対する世論の関心は非常に低かったが、映画の公開後、警察など地域ぐるみで事件を隠蔽していたことが公に知られた。

そして、そのあまりの劣悪な事件に韓国世論が大きく動き、犯罪へ関わった教員や警察への強い非難や、事件の再調査を求める声などが強く上がった。

さらには、障害者女性や13歳未満の子どもに対する性的暴行を厳罰化する法律「トガニ法」がこの映画をきっかけに成立した。

この映画は、韓国世論を動かすほどの強大な影響力のある作品である。

● 『トガニ 幼き瞳の告発』の あらすじ

ソウルから来たカン・イノは美術の新任教師として聾学校に赴任した。

イノは若くして妻と死別しており、生まれつき喘息持ちである8歳の娘を祖母に預けざるを得なくなったため、家族を養うことに。

聾学校への赴任後、双子の校長と教頭はイノに学校の資金として5,000万ウォンの賄賂を強要する。また、授業にやってくる子供達の体にあざがついていたり、何かに怯えている様子を見せることから、イノは学校に対して違和感を感じ始める。

とある日の放課後、女子トイレで泣き叫ぶ女の子の声を聞き、様子を伺おうとしたイノだったが、学校の警備員に阻止されてしまう。

その後、教員の生徒に対する暴行や校長からの生徒への性的暴行、さらに学校側から地元警察への事件隠蔽の贈賄の場面などを目撃し、事の真相を掴んだイノは、生徒2人を保護し、人権センターのソ・ユジンとともに巨悪へと立ち向かう。

そしてイノが保護した生徒と交わした筆談から、驚きの真実が明らかになる。

まとめ

韓国の映画やドラマといえば、勧善懲悪で悪者は最後に成敗され、ハッピーエンドで終了するものが多い。

しかし、今回紹介した映画作品はどれもハッピーエンドでは終わらないものだ。エンディングはかなり後味が悪く、ハッピーエンドを望んでいる方にはおすすめできない。

だが、これらの作品は韓国社会に現存している様々な問題を映画の物語だけでなく、人物描写やカメラのアングルなど細かい部分を通して巧みに描写している傑作であることは間違いない。

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