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Live.meで毎週木曜日21:00~配信中の弁護士 大渕愛子先生の法律相談。
今回は「結婚するとどんな義務を負うの? 婚前契約で何が変わる?」という疑問にお答えします。

結婚するとどんな義務を負うの?  婚前契約で何が変わる?

今日の法律相談は「婚前契約書のことをもうちょっと聞きたい」というお話があったので、そのお話をしますね。
興味がない方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと一緒に考えてほしいことがあるんです。

結婚するとどんな義務が生じるのか、みなさん知っていますか?
みなさん、結婚すると生じる義務を知らずに結婚してますよね?

ここを知ると結構「おー!」って感じる部分や、「そうなんだ!法律的にそんな義務が生じてるんだ」ということが明らかになると思います。

「結婚すると何が変わるの?」「どんな責任が生じるの?」ということを、特にこれから結婚する若い方には知っておいていただきたいですし、結婚されている方は「こんな義務を負っているんだ!」と再確認していただければと思います。

では早速まいりますね。

1つ目は「同居義務」が生じます。
これは同居するのが原則ですという義務ですね。

2つ目が「協力扶助義務」です。
お互い協力し合って助け合うということが法律でも定められています。

ですので、相手が困ってるのに一方的に放置することは許されないという事です。
日々の育児で大変な奥さんだけに育児を押し付けて遊びに行くようなことは、法律上許されないことなんです。
旦那さんが仕事をしていて大変なのはしょうがない・・・。それは家族の為ですからね。
もちろんありがたいですし、感謝をすべきことですが、困っている時に助けないで見捨てるということは夫婦の間ではやってはいけません。
そして、生活費に困っていると言われたら、旦那さんはもちろんそのために努力しなければなりません。

そして3つ目が「婚姻費用分担義務」です。
これは「婚姻から生じる費用というのは夫婦で分担しましょう」という義務です。

お互いの資産・収入を考慮して分担割合を決めます。
ただし専業主婦の方は分担しなくてもいいんですが、共働きだったら相当な分担をしましょうという事が決められています。

4つ目が「日常家事債務」です。
これは、日常家事に関する債務についてはお互い連帯で責任を負うというものなんです。
この日常家事の範囲が難しいのですが、日常生活する上で通常必要となるものについて、もし奥さんが何かを購入して債務を負ってしまった・・・となった場合、それについては旦那さんも連帯責任を負います。

例えばクレジットカードを使ってスーパーマーケットなどで全ての買い物をしているという場合、クレジットの支払い義務はお互いが連帯で責任を負うことになります。
ただ、このクレジットカードの支払いがほとんど個人の趣味に使われてしまったという場合は、単独の負担ということになります。
内容によってケースバイケースなのですが、通常生活に必要とされるものに関しては連帯責任となります。

5つ目が「貞操義務」です。

要は「不倫をしてはダメですよ」ということですね。

これは法律に明文はないです。ただ、判例上決められている義務で他の異性(婚姻関係にある男女以外の異性)と不貞行為を行ってはいけない、性行為を行ってはいけない。そういった義務を持っています。
これらが基本的な法律上の義務です。

それではここからは、視聴者の方のご質問にお答えしていきますね。

Q:愛子先生のところには、どんな相談が多いですか?

A:私の専門でもある、「離婚、親権、面会交流」。このあたりの相談が非常に多いですね。

経験上、私は離婚問題をたくさん担当しているので円満離婚というか、お互いが納得できるような形で解決することも大事だと思っていますけれども、「どうやったら離婚を防げるのか?」や「離婚をなくすことができるのか?」ということも考えるようになって、私自身やろうと思ったのが「婚前契約」です。

やっぱり、結婚前にいろんなことを考えずに結婚してしまって「こんなはずじゃなかった」と離婚する人がすごく多い中で、結婚前に「もっと話しておけばよかったな」と思うことや「話をしておけばそもそも結婚をしなかった」、「結婚してもそれをあらかじめ知っていたら、うまくいったのに」ということが多いので、お互い結婚前に確認し、そしてその中でどうしていくか、ということを契約の中で決めていきます。
例えば、「貞操義務をなくします」という契約は、公序良俗に反しますので、排除できない義務はあるのですが、当事者の意思で動かせるものもありますし、ある程度決めておくことで揉め事を防ぐこともできるんです。
例えば婚姻費用を分担しましょうと、それは理念として法律には書いてありますが、具体的な割合や分担内容は書いていないので、「結婚したら少しは払ってくれると思っていたのに、全然相手が払ってくれない・・・」ということが起こる前に婚前契約で決めておきましょう。

また、同居義務があると言いましたが、「別居婚」というのもお互いの同意があれば認められています。

Q:離婚調停中に相手の不倫が発覚した場合はどうなりますか? 慰謝料請求できますか?

A:婚姻関係が破綻した後の不倫は、不貞行為ではないと考えられていますので、時期によりますね。
別居期間が長くなった後の異性との交遊は不貞行為に当たらないとされています。
ですので、調停中だと関係が破綻していると認定されて慰謝料請求の根拠にならない可能性もあります。

Q:詐欺は刑法違反、民法違反どっちですか?

A:両方です!
例えば詐欺事件が起こった際、それは「詐欺罪」という刑事犯罪ですね。
それに、被害者の方にとってみたら不法行為でもありますから、「お金を返して」と言います。民事上の違反でもあるので両方に違反しているという事になります。

傷害などもそうなんですね。
刑法では「傷害罪」になります。相手を殴ってけがをさせました、というのは傷害罪ですが、民法上の不法行為にも当たります。
相手方に「損害賠償請求」ができますので民事上の違反にもなります。

結婚にはいろいろな義務が生じてくるとお話しました。
同居義務がある中でも、「私たちは別居婚を選びます」や、「当面、仕事上別居になります」ということをお互い認識した上で「結婚しましょう」となったら、やっぱり、結婚によって生じる義務について、はっきりさせておいた方がいいですね。

別居婚の場合、同居義務がありますので、後から同居の請求もできます。
そこで揉めてしまうとちょっとよくないですよね。
結婚する時から「別居が前提だった」と言うのであればそこは一言婚前契約書に書いた方がいいです。

また婚姻費用の分担の仕方や、専業主婦になる場合には旦那さんが生活費を出すということになりますが、そういうことも書いておいたほうがよいです。

中でも共有財産を定める意義が一番大きいかなと思います。
婚姻前から持っていた財産はお互いそれぞれのものです。共有はしません。
婚姻中に得た財産でも、相続や贈与によってもらったもの、つまり自分がもらったものは、夫婦で形成した財産ではないので、お互いのものになります。
ですが、それ以外のものは共有だと推定します、というのが今、民法の規定になっているんですね。

離婚の際に1番の争点になるのが共有財産の範囲です。
相手方から「ここからここまでは俺のものだ!分けたくない!これは元々持ってたものだ」などど言い出されたりします。
ですが婚姻期間が長くなってくると証明もしにくくなるので、これは共有財産ではないということを明確に書いておいたり、証拠を残しておいて、あらかじめ争わないようにするとよいと思います。

個人的には共働きであれば、離婚時に共有財産を分ける必要はないんじゃないかな?という考えなんです。

結婚している間、お互いが助け合うのは当たり前ですよね。
法律上にも規定がありますし、お互い助け合うということが大前提です。
結婚したのにお互い助けません、みたいな法律や婚前契約はさすがにありえません。
離婚した後のことは、それぞれが働いているのであれば、自立してやっていけばいいのでは? と私は思うので、そこで共有財産を分ける必要性を感じないんですよね。

ただ、専業主婦で自分の貯蓄がないという状態であれば、もちろん分ける必要があると思います。

この点は、その家庭毎で違うと思うんですよね。
そのため、この共有財産の範囲を婚前契約で定めておくことに意味があるのです。
例えば収入の50%ずつをお互いが出し合ってそれを共有財産にし、そこから生活費を出しますなど、そういった契約を結ぶケースもあります。
そうすることによって、共有財産の範囲がとても明確になります。

契約内容も全てお金の事だけではなくて、お互い気をつけてほしいことでもいいんです。
例えば「健康に留意してほしいから運動は欠かさずやってほしい」や、「あまり添加物のあるものを食べないでほしい」、「タバコをやめてほしい」、「お酒は週に〇回までにしてほしい」、「趣味にお金をかけすぎない為に月に使っていい金額は〇万円まで」など、 それは夫婦間で定めて決める事なので個性があって、おもしろいです。

結婚前にお互いの気持ちを確認するのもいいことだなと思います。

 

▼大渕愛子Profile

【生年月日】1977年8月12日
【血液型】A型
【出身地】東京都
【趣味】ふなっしー、猫、中国語、漢字
弁護士活動やママタレントとしてテレビなどを中心に活躍中

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