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2019年を代表する言葉たちがランクイン。

「新明解国語辞典」た「大辞林」など数々の辞書を手掛ける株式会社三省堂が、2019年12月3日に、2019年を代表・象徴する新語ベスト10を発表した。

「-ペイ」が大賞を受賞!

「PayPay」をはじめ「LINE Pay」「楽天ペイ」など、各社が展開するスマート決済サービスが浸透した2019年を代表する言葉として「-ペイ」が大賞を受賞。

日本語において、この「-ペイ」のように言葉を構成する要素となるものを「造語成分」と呼ぶそう。消費者の決済行動に大きな変化を及ぼした、という意味で大賞にふさわしい言葉である。

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各辞書の「-ペイ」の説明の違いも興味深い。

攻撃的な行為や社会の負の側面が現れた言葉もランクイン

第2位は、「にわかファン」「にわか勉強」のような使い方をする「にわか」がランクイン。こちらの言葉は、相手をけなす際に使われることも多かったものの、近年初心者を歓迎する意味合いに変化していることから選ばれたよう。

第3位の「あおり運転」第4位の「反社」、第6位の「電凸」第7位の「カスハラ」など、負の要素を持った言葉が多くランクインしているのも、今年の特徴だ。

その他、第5位の「サブスク」なども今年に入ってよく耳にするようになった言葉だろう。

知らない言葉もあるかも?国語辞典のプロが解釈を発表

三省堂の国語辞典にはそれぞれに、シャープな語釈でことばの本質をとらえる『新明解国語辞典』、シンプルな語釈で要するに何かがわかる『三省堂国語辞典』、高校生の自習を強力に支援する『三省堂現代新国語辞典』、いまの日本語を映し出す[国語]+[百科]辞典の『大辞林』と特色がある。各辞書の編集方針によって語の解釈の違いがあるのも面白い。

(以下、プレスリリースより引用)

  • 【大賞】

ペイ (造語)〔←payment〕スマートフォンにインストールしたアプリを使い、キャッシュレスで支払いを行うサービス。経済産業省が進めようとしているキャッシュレス決済に伴い、さまざまな支払方法が広まっている。キャッシュバックキャンペーンやポイント還元、軽減税率などを有利にする方法として用いられている。〔消費税の一〇パーセントへの引き上げに際し、現金を使用しないことで、増税の実感を少しでも減らすための方法として広めた仕組みとも考えられる〕
『新明解国語辞典』編集部執筆

ペイ〔pay〕[一] (名)報酬(ホウシュウ)。賃金。「―は八千円だ」[二](名・自他サ)①割に あうこと。もうかること。「―しない仕事」②しはらうこと。[三](造語)〔—ペイ〕スマートフォン決済の名前に使う ことば。
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生執筆

ペイ〈造語〉[←payment]「ペイメント」の略。現金を用いない、スマートフォンなどによる電子マネー決済。[「…ペイ」のように、固有の電子決済名として用いられることが多い]
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生執筆

ペイ [1]〔ペイメントの略〕他の語に付いて、電子決済のサービス名称を作る語。「ペイ―」「グーグル―」〔特に、近年広がったモバイル決済サービスで多く使われる〕
『大辞林』編集部執筆
 

  • 【2位】

にわか[(×俄か)]ニハカ[一](形動ダ)急に そう〈なる/する〉ようす。〔少し かたい言い方〕「―に空が くもってきた・―な空腹・―雨・―雪・―づくり・―じたて」[二](造語)〔にわか—〕その時だけの。かりそめの。「―勉強・―サッカーファン」[三](名)その時だけ関心を持つ人。関心を持って間もない人。
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生執筆
 

  • 【3位】

あおり うんてん[4]アフリ─【〈煽り運転】道路を走行する自動車や自動二輪車などに対し、後方から高速で迫って異常接近したり 前方に急に割り込んだり、また、パッシングするなどして、相手を威嚇し恐怖を与えて、重大な事故を引き起こしかねない悪質・危険な行為のこと。
『新明解国語辞典』編集部執筆

  • 【4位】

はん しゃ[反社](名)①〔←反社会的勢力〕暴力団など、暴力や詐欺(サギ)といった方法で利益を得ようとする勢力。②←反社会。「―(的)勢力」▽二〇一〇年代に広まった ことば。
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生執筆
 

  • 【5位】

サブスク〈名〉[←subscription]会員となってある期間分の定額料金を支払えば、その期間内は提供されている製品やサービスをいくら使っても、追加課金がないというシステム。定額制。「―にない楽曲」[音楽配信や動画配信などのサービスをはじめとして、さまざまな分野に広がりつつある。subscriptionのもとの意味は「会費」]
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生執筆
 

  • 【6位】

でん とつ[電:凸](名・自他サ)〔←電話で突撃(トツゲキ)〕団体などに電話して、暴力的に非難したり問いつめたり(した結果をネット上に公開)する迷惑行為(メイワクコウイ)。〔二十一世紀になって広まった ことば〕
『三省堂国語辞典』飯間浩明先生執筆
 

  • 【7位】

カス ハラ [0] 〔カスタマー-ハラスメントの略〕客が接客担当者などに対し、悪質で理不尽な要求や過度のクレームなどで、長時間の苦情の言い立て、暴言や脅迫、謝罪の強要、暴力行為などの迷惑行為を行うこと。
『大辞林』編集部執筆
 

  • 【8位】

すいちょく ひなん [5] 【垂直避難】災害時に垂直方向に移動する避難方法。洪水や津波の際に自宅や近隣の建物内で上階に移動することや、地震や火災の際にビルの高層階から地上に移動することなど。離れた場所にある避難所への移動が困難な場合に、安全の確保のために行う。〔離れた場所に移動する「水平避難」に対していう〕
『大辞林』編集部執筆
 

  • 【9位】

おきはい【置き配】〈名〉宅配する際に、品物を対面して渡すのではなく、指定された場所に置くことで配達すること。「―で玄関前を指定する」[再配達による時間や労力の無駄を防ぐために始められた]
『三省堂現代新国語辞典』小野正弘先生執筆
 

  • 【10位】

エー エス エム アール[7]【ASMR】〔←Autonomous Sensory Meridian Response=自律感覚絶頂反応〕 聴覚や視覚への刺激によって、脳に快感を覚える反応・感覚。科学的根拠には乏しいが、多くはその人が経験し気持ちよいと感じられた音を耳にすることによって、気持がやすらいだり 快感をえられたり、また、痛みがやわらいだりするとされる。主にインターネット動画を通してひろまり、タイピング音や咀嚼(ソシヤク)音など様々なものがある。〔聞きようによっては雑音にしか聞こえないものも多い〕
『新明解国語辞典』編集部執筆

これからも使われてゆくであろう言葉を選定

三省堂の「今年の新語」はあくまでも「今年広まったと感じられる新語」となっており、言葉自体が生まれたのは今年ではないものも含まれている。今回選ばれた言葉たちは、今後辞書に掲載される可能性もあるので、注目したい。

▶参考
三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2019」選考結果発表ページ
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2019/best10/

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