確定拠出年金制度は2001年10月に始まり、もう15年に渡って運用されている制度であるが、まだまだ認知されていない印象がある。しかし、実際は2016年3月末の段階で、「企業型」「個人型」併せて約540万人が利用しており、毎年右肩上がりで利用者は増え続けている。
(厚生労働省調べ:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/kiyakusu.html
今回は、まず確定拠出年金がどのような制度なのか。そして、あまり知られていない「個人型」の確定拠出年金について紹介したい。

■札束の部分は紙です。イメージ写真です。

老後資産を自分で管理する「確定拠出年金」

まず、一般的な年金と確定拠出年金の違いについて、知ってほしい。

一般的によく知られている年金制度は、「厚生年金保険」や「国民年金」だろう。これらは老後の保障として国が行っている「公的年金」の制度になる。給付が始まる年齢が引き上げられたり、給付自体を引き下げられたりする傾向にあるため、老後を迎える頃、実際にどれくらい、いつから貰えるのか不安だというのが正直なところだ。

企業に勤めていれば、老後に備えての支給制度を企業が用意するケースもある。代表的な制度は「退職金(退職一時金)」だ。さらに制度が充実している企業であれば、年金のような形で退職金を受け取る事ができる。これらは、一般的に「企業年金」と呼ばれる制度だ。ただしこちらは、企業の業績が傾いていった場合にどうなるかわからない点が不安要素ではある。

上記のような年金制度と違い、確定拠出年金は「自分の老後資産を自分で管理する」年金制度だ。公的年金は政治に、企業年金は企業の業績に影響を受け、どれくらい受け取れるかについて不透明だ。しかし、確定拠出年金は自分で運用方針を決定する事ができ、残高の照会もいつでもすることができる。その代わり、受け取れる金額も「自己責任」の制度となっているので注意が必要だ。

自分で運用方法を決められるが受給は原則として「60歳以降」

pension

個人型確定拠出年金の第一のメリットは、受け取れる金額が「見える」点だ。これは公的年金や企業年金との大きな違いである。ネットサービスなどを通じて、いつでも残高の照会が可能なのは嬉しいし、安心だ。
第二のメリットは、「守られている」点である。自己責任の制度ではあるが、その代わりに手厚い保護がされている。会社の倒産、金融機関の破綻などから老後の財産が守られる仕組みが整っているのは心強い。特に税金の控除などは強力だ。
第三のメリットは、「自分で決定できる」点だ。公的年金や企業年金の運用方針に異議申し立てすることは出来ないが、個人確定拠出年金では自分で運用の方針を選択することが出来る。
第四のメリットは、「転職してもOK」な点である。企業年金では絶対に無理な部分だ。個人で育てる年金なので、新しい職場でも引き継いで育て続ける事ができる。
上記に対するデメリットとしては、
第一に、あくまで老後の備えとしての年金なので原則として60歳までは貰えない点。第二に、運用の責任を自分で負わなければならない点。失敗しても誰のせいにも出来ないが、上手くいったときの報酬は独り占めできるとも言えるだろう。

拠出した掛け金が全て所得控除の対象となるのは、私たちにとってかなり助かる制度なのは間違いないだろう。また、運用によってそれを増やしても非課税のままとあれば、上手く使えばお得に資産を増やす事ができるのも嬉しい。もちろん運用は「自己責任」なので、慎重かつ計画的を心がける必要はあるが、個人事業主の方や、投資先を探している方は充分に検討する余地のある制度だと言えるだろう。

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