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Live.meで毎週木曜日21:30~Live.meで公式配信中の弁護士 大渕愛子先生による法律相談。
今回の法律相談は、前回の公式配信の際に視聴者の方からいただいた感想&ご質問から、「養育費の決め方」についてのお話です。

 

養育費については大きく3つの問題に分かれます。

1つめは「決め方の問題」、2つめは「金額の問題」、3つめは「履行確保の問題」

今回は決め方のところをお話ししたいと思います。

前回の配信の際に、養育費の相場の話をしました。算定表というものがあり、主に権利者と義務者の年収で決めるのですが、調停と審判ではその算定表から自動的に金額が決まってくるというケースが多いんです。
決め方1、調停を申し立てずに当事者間の合意で離婚の際に決めるというケース。

決め方2、2人での話し合いでまとまらずに調停を申し立てる。

合意の場合は特に基準はないので相場より養育費が高い場合もありますし、安くなってしまう場合もあるんです。

私が過去に取り扱った案件では年収1000万の方が子ども1人の1か月の養育費として32万で合意したケースがありました。これは非常に高い金額で合意された事例です。

合意書は当事者間で書面でまとめるというのでもいいのですが、公証役場で公証人によって公正証書を作成し、しっかり残しておくと後々支払いが滞った時に書面が証拠として残る為、給与を差し押さえるなどの強制執行ができるので、私は公正証書に残しておく事を絶対にオススメします。

私が相談に乗った場合には「公正証書を作った方がいいです!」と必ずアドバイスをしています。

「公正証書」を残しておくと何が違うのかというと、合意書でも法的にはしっかりとした文書として認められるのですが、その合意書をもって裁判を起こし、判決をもらい、それでも支払われない場合に強制執行を申し立てるという流れになります。ただの合意書だと「履行請求」と「強制執行」の2回裁判を起こすことになるのですが、予め「公正証書」を作成しておくと、「履行請求」の裁判をせずに「強制執行」の申し立てができます。

ただ、先週もお話しさせて頂きましたが、強制執行しても「差し押さえする財産がない」、「給与がない」、「預金がない」という場合には公正証書を作成したとしても取るものがない(お金をもらえない)事もあるので必ずしも全てに当てはまるものでもないという認識もあった方がいいと思います。

相手の方がしっかり給与が出ている方(会社員、公務員)であれば基本的には(退職しない限り)履行を確保できたと思っていいと思います

実際は2割程度しか養育費は払われていないという問題も現実として起こっているんです。なぜ支払われていないかというと、支払えるわけがないと諦め、資力がないところからは回収のしようがないと諦めるケースはやむを得ないのですが、ある程度相手方に資力があるのに、しっかりと養育費の取り決めができないまま離婚してしまったなど、養育費の取り決めができない時には調停を申し立てることができます。

調停員は双方の真ん中に立って二人に合意を促していく役目はあるのですが、それでもやっぱり合意ができないという事であれば審判という形で裁判官が相場に従って「この金額を毎月払いなさい」と決定を出します。

その決定に基づいて支払われるのですが、やはりここでも支払いが滞ってしまった場合には強制執行を申し立てて給与の差し押さえなどができます。

給与の差し押さえというのがどのくらいできるのかというと、支給額の2分の1までと決められています。

一般的にはお金の貸し借りなどで強制執行する場合には差し押さえは4分の1までなんですが、養育費は優先順位が高いので特別に2分の1までとなっています。

では、ここからは視聴者の方のご質問にお答えしていきますね。

 

Q:職場がわからない場合はどうなりますか?
A:これがやっかいで職場がわからない場合は回収が難しくなります。結婚していた当時勤めていた職場から転職していて連絡先もわからなくなってしまって・・・と。

実はこういったケースが多々あるんです。そういった場合はどうにかして連絡先を調べたり中には探偵を雇って調べる方もいらっしやいますし、親族をたどって調べる方もいらっしゃいますが、なかなか勤務先が分からず差し押さえする事ができないというケースも残念ながらあるんです・・・。

Q:子どもを作ったからには離婚したとしてもしっかり払って欲しいです!
A:当然です!ただ、どちらもお互い離婚した相手が再婚したという場合もありますよね?例えば子どもを引き取った女性側と再婚された男性が養子縁組をして扶養義務を負った場合、第一には一緒に暮らしている男性(新しいお父さん)と女性(引き取ったお母さん)に扶養義務があるので、優先順位としては、一緒に暮らしているお父さんとお母さんが強く扶養義務を負う事になりますので、離婚した男性側(前のお父さん)が支払う金額が少なくなるという余地はあります。

まれにゼロという事もありますがそれはケースバイケースなんですよね・・・。

でもやっぱり実の親であれば扶養義務があるというのは変わらないんです。

中には子どもに会えない、会わせてもらえないから養育費を払いたくないという方もいて、もちろん子どもに会えることが支払いを続けるモチベーションになるというのも分かりますし、会いたいという気持ちももちろんわかります。だから離婚してもできるだけ子どもと会えるという状況にするのが私も理想だと思いますし、しっかりと養育費も支払われるべきだと思います。しかし、会えないから払わないというのは通用しないのです。会えても会えなくても養育費は発生するものなのです。

 

Q:私の母は離婚した時、早く縁を切りたくて養育費をもらいませんでした。
A:そうなんです!「一刻も早く離婚してもう一切関わりたくない!!」と言って、もらわない方も多々います。また「養育費はいらないから早く離婚したい!」という方もいらっしゃいます。

そこはお互いの自由意思の問題なので問題ありません。

でも後から「やっぱり欲しい」と思ったら請求はできます。養育費は子どもの権利ですから。当初いらないと言ってから請求するので多少支払う金額が考慮される事はありますが、請求は後からでも行う事は可能です。

 

Q:暴力で離婚した場合、子どもを会わせたくないです。
A:もちろん暴力や虐待などが理由で離婚した場合には、面会を拒否する合理性、必要性があるため、その配慮はされます。

 

Q:相手の親御さんへ請求はできますか?
A:法的に請求するというのは難しいです。条件によっては可能な場合もありますが、基本的には厳しいため、任意の援助を依頼する形になるかと思います。

▼大渕愛子Profile

【生年月日】1977年8月12日
【血液型】A型
【出身地】東京都
【趣味】ふなっしー、猫、中国語、漢字
弁護士活動やママタレントとしてテレビなどを中心に活躍中

▼配信について
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