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Live.meで毎週木曜日21:30~公式配信中の弁護士 大渕愛子先生による法律相談。
今回は「自己破産」についての質問にお答えします。

自己破産について

それでは「自己破産」について、お話しますね。

先週、視聴者の方から「自己破産」について聞きたいというご希望がありました。

「借金が多くなってきました、じゃあどうしようかな?」って悩むことは、誰しもあるかもしれないですね。
「自己破産」という言葉、よく聞くと思うんですけど、「自己破産したらどうなっちゃうの?」や、「どういう手続きをするの?」ということを意外と知らない方がいらっしゃる、ということでお話したいと思います。

まず、自己破産と言うと皆さんが思い浮かべるのは、「借金をたくさん抱えている人が、自分にある財産を全て債権者に配当して、責任を免れる」というものではないかと思います。原則としては、それで間違いありません。

ただ、個人の自己破産の場合は「財産がない」ということが多いんです。
ですので、「財産がないですね」ということを裁判所で決定してもらうと、直ちに「同時廃止」と言って破産手続きが終わり、「免責」という形になりますので、全ての債務は支払わなくてよいということになります。

全ての債務払わなくていいってすごいことですよね。
何千万も借金があってもゼロになる、ということなんです。

支払えるのであれば、もちろん支払った方がいいですが、どうしようもなくて自殺を考えてしまうとか、悪いことをしてでもなんとかお金を稼がないといけないとか、いろんなことを考える方がいらっしゃるということも事実としてあります。
「自己破産」が正しく活用されれば、そういったことも防げるということですね。
では、「自己破産は何かデメリットがあるんですか?ただ借金がゼロになるだけですか?」という疑問にお答えしたいと思います。

よくみなさんが心配されるのが「仕事がなくなってしまうんじゃないか」とか「みんなに知られてしまうんじゃないか」ということなんですけれども。
基本的には「官報」というものに載りますが、「官報」は有料で毎日発行されているもので、購入して見るという人は一般の方にはそうそういないので、金融機関や不動産業界の方が見ることはあっても、通常知られることはありません。
そして仕事を失うかと言うとですね、職場には知られないことが普通ですので、そのまま働き続けることができます。

ただ、弁護士もそうですし、会計士や不動産鑑定士など、公法上の資格の職業は、破産者になっている間は、手続きが終わるまで、その間仕事ができないという「停止状態」になるというデメリットがあります。
また、会社の取締役であれば、一旦退任しなければなりませんが、通常の会社員であればそういったこともなく、手続き中も変わらず勤務できます。
仕事上のデメリットは、それくらいです。

最大のデメリットは自分が破産したということが、「信用情報」に記載されてしまうことです。
そのため、金融機関は、そのことを知ることができます。
ですから、今後お金を借り入れたい、ローンを組みたいという時にそういったことができなくなります。
「信用情報」のそういった記載は、5~7年記録が残ると言われています。
「信用情報」として記録が残ってしまう以上は、次の借入やクレジットカードを持つことができなくなるというリスクは十分覚悟しておかなければなりません。

そういったところは生活していく上で、やはり少し不便だと思います。

ここからは「自己破産」について、視聴者の方のコメントにお答えしていきますね。

Q:クレジットカードが作れなくなるのは聞いたことあります

A:そうなんです。やっぱり不便ですよね。
社会的に信用がなくなるというのも、とても悲しいことだと思うので、そういう意味では避けたいところです。

Q:「差し押さえ」について教えてください。

A:「差し押さえ」は自分が財産を持っている時、差し押さえの対象になり、換価されて債権者に配当されてしまうということです。
最低限のものを除いて、車や家などのプラスの財産は差し押さえられて換価されるということになります。
自己破産してしまったら、自分の手元にはほぼ財産がない状態になります。
ただ債務がチャラになりますので、またゼロからのスタートですね。

Q:自己破産した際、貯金900万円あっても大丈夫でしたでしょうか?

A:それはダメです。貯金があった場合はそのことを申告して、他の債権者に配当で配らなければいけないので、貯金を持ち続けることはできないです。
その場合は管財事件となって、債権者のみなさんに配当するという手続きが生じます。
さっきお伝えしたように、財産がない人はすぐに同時廃止になって免責決定が出るのですが、資産がある人に関しては、「管財事件」になって債権者に平等に配って、その上で免責ということになります。

Q:「自己破産」すると「生活保護」は受けられないのですか?

A:いやそんなことはないです。それとこれとは別で、生活保護を受けている方が「自己破産」することもあります。「自己破産」と「生活保護」は別の話ですね。

Q:お金が全然ない状態で「自己破産」したらどうやって暮らしていくのですか?

A:生活保護を受けるなど、そういった方法もありますし、仕事は続けられるので、「自己破産」は、財産はなくなるけれども将来における賃金債権まで否定されるものではありません。
ですので、働いて生活することができます。

Q:「債務整理」と「個人民事再生」の違いを教えてください。

A:「債務整理」というのは広い意味で、「個人民事再生」も「自己破産」も含んでいます。
そのほかに、任意の債務整理というのがあって、弁護士又は司法書士が入って交渉して、利息の支払いを免除してもらったり、支払いスケジュールを立てたりして債務を整理することをいいます。

Q:掛け捨ての生命保険はどういった扱いになりますか?

A:掛け捨てであれば、解約返戻金などの財産的価値はないので、そのままになります。

Q:遺産の場合はどうしたらいいですか?

A:遺産として資産を持っているということですね。
その遺産として持っている資産の所有権が自分にあれば、もちろん換価の対象になります。

Q:「自己破産」と「個人民事再生」、ともに全ての債務が対象ですか?

A:対象外になるもの、免責がないという意味では、例えば「不法行為に基づく損害賠償の債務」など、免責の対象にならないものはあります。
例えば「他人から詐欺をしてお金を取ったので返さなければならない」とか「会社のお金を横領したのでそれを返さなければならない」という場合に、「自己破産をして全部ゼロにします」というのは、あまりにも都合が良い話だからです。

Q:家族名義の貯金は?

A:自分名義ではなく、家族名義の貯金ですね。
それは差し押さえられるということはないですね。

Q:「自己破産」すると、子どもたちに影響はありますか?

A:家族に影響を及ぼすことはありません。そこは心配しないでくださいね。

Q:「自己破産」した場合、税金はどうなりますか?

A:税金はダメですね。
税金も、先ほど言った「損害賠償の債務」とかと同じように、免責の対象にならない債務になるので税金がゼロになるということはありません。

Q:「任意整理」をしたのですが、ETCカードは作れますか?

A:ETCカードはクレジットカードにリンクをしてるので、難しいと思います。

Q:借りたものを返したいので、「債務整理」でも返していきたいです。

A:偉いですね。その場合は弁護士を通じての「任意の債務整理」又は「個人民事再生」という形をとるのがいいのかなと思います。

何の手続きも取らずに全部返すことが難しいということであれば、是非債務整理のいずれかの方法を検討してみてください。

▼大渕愛子Profile

【生年月日】1977年8月12日
【血液型】A型
【出身地】東京都
【趣味】ふなっしー、猫、中国語、漢字
弁護士活動やママタレントとしてテレビなどを中心に活躍中

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