中国では今、「シェアビジネス」が人気だ。そんななか、新しいジャンルとして「自転車シェア」が話題となっている。ここ最近、「OFO」と「摩拜」といった2つのIT企業が、いずれも千万ドル以上の資金を調達できたとして話題に。自転車シェアのビジネスモデルはいたって簡単で、企業が自転車を用意し、有料で登録したユーザーはそれを自由に乗ることができるというサービス。OFOは、自転車をユーザーから寄付されたものを再塗装して利用しているのが特徴で、UberXと似ている。

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自転車シェアの正体

中国では10年以上前から「公共自転車」という主に行政が主導するサービスが存在する。一部の都市では、大気汚染の抑止や市民への福利厚生として、無料で公共自転車サービスを提供している。

「自転車シェア」と「公共自転車」の違いは、主に2つある。
1つは、公共自転車がステーションから借りて、ステーションまで返却する必要があるのに対して、自転車シェアの車両はどこからでも借りられ、終わったらその場で置くことができる。2つ目は、「どこでも借りられる・置ける」を実現させるための施策で、GPS装置が自転車についているということだ。ユーザーがアプリを使って付近にある自転車を探すことができ、運営会社も自転車の動向を把握でき管理ができる。また、利用料金の決済もスマホででき、料金システムも非常に安く設定されている。OFOでは距離と利用時間で課金され、摩拜の場合では30分1元(16円)の固定価格で提供されている。

ニーズどこにあるか

このようなサービスが人気となった背景は、公共交通機関から降りてから目的地までの「最後の2・3キロ」がらくになったら。という、これまで解決されていなかったニーズに応えたからだ。タクシー配車アプリも多数存在している中、料金が高く使用したくないという人たちの救世主となった自転車シェアサービス。創業者の1人は「社会福祉でもありビジネスでもあり、両者の中間部分にいるのがわれわれだ」と主張している。

さまざまなリスク問題も

しかし、このような高評価を得ているサービスにも、いろいろなリスクや問題がある。それは、盗難やいたずらだ。自転車シェアの車両にはGPSやオートロックが付けられているものの、バラバラにされてから盗難されるケースもある。そしていたずらで破壊されたり、ひどい場合では川に投げられたりされることも。また、ユーザーの利用マナーも課題となっている。車両が十分に配備されていない地域では、ユーザーが自転車を占有するため、自分の鍵をかけてほかのユーザーが開錠しても乗れないといった報告も挙がっている。

将来の営利が懸念

ユーザーが便利に感じられるこのサービスだが、高額な投資を受けられた一方で、将来性に心配している人も少なくない。「単価が低くて、いつまでコストを回収できるの?」という声もあれば、「自転車に広告を付けることも考えるが、そのコストがあれば広告主はバスなどに出稿するだろう」と、流入しそうな収益を否定する人もある。また、北京や上海などユーザーが一番多いと見られる都市では、行政主導の公共自転車がすでに溢れているが、全国でも1万台ぐらいしかない自転車シェアには勝つ見込みもないのだ。「ブームが落ち着いたら、ユーザーも飽きるだろう」と、業界内ではすぐにブームは過ぎ去るだろうと予想されている。

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StartHome編集部

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