
第92回アカデミー賞は2020年2月9日に発表
第92回アカデミー賞のノミネート作品が発表され話題となっている。
そして来たる2020年2月9日(現地時間)、第92回アカデミー賞授賞式が開催される。
授賞式ではグラミー賞で女性初の4部門制覇を果たしたビリー・アイリッシュがパフォーマンスを行うことが決定しているなど注目度が高まっているが、92回目のアカデミー賞の発表を前にして、映画好きの私が2019年に鑑賞した映画から選定した自分なりのアカデミー賞授賞リストを発表したいと思う。需要があるのかどうかは分からないが…。
この記事はあくまで2019年に日本で初公開された映画を対象として考案しており、個人的な感想を述べるものであるので、実際のアカデミー賞ノミネートから授賞作品等を予想をする内容ではないことはあらかじめお断わりしておきたい。
ただこの記事が今後読者のみなさまが映画作品を鑑賞する際の一助になれば良いと思い、参考までに紹介させていただく。
作品賞:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが初めて共演。ビッグネームのダブル主演で話題となったクエンティン・タランティーノ監督作品。
ヒッピームーブメント全盛期のハリウッドが舞台のこの映画は、虚実入り混じる世界観が特徴で、主演の2人こそ架空の人物役だが、ブルース・リーやロマン・ポランスキーなど実在の人物も登場する。
タランティーノ監督の映画と言えば”暴力”。もちろん本作も惜しみなく”暴力”表現が描かれている。
しかし、本作の”暴力”は単なる暴力礼賛主義の表現ではない。語弊を恐れずに言うなら、この映画の”暴力”はタランティーノ監督なりの”正義”だ。
価値観が多様化した現代に、あらためて勧善懲悪を映画を通じて描くことの意義を堂々と示した秀作だったと思う。
主演男優賞: ヤコブ・セーダーグレン
作品名:『THE GUILTY/ギルティ』
本作は、デンマークで製作されたサスペンス映画だ。
地域警察の緊急通報センターで働く主人公は、ある日とある女性から「たったいま自分は誘拐されている」と通報を受ける。主人公は彼女を助けるため、電話口から様々な情報を聞き出し、犯人特定のため奮闘する、というのが、物語の大筋の流れである。
あらすじだけを見るとそこまで奇抜なシナリオではないように思えるが、実はこの映画、映像としては、コールセンターの風景、つまり主人公を演じるヤコブが電話応対をしているシーンのみで展開される。
彼は劇中、電話先の声と会話をするのみ。彼の表情と受け答え、その一言一句のみによって、この映画はエンディングまで突き進むのだ。
そんなヤコブ・セーダーグレンの、ほぼたった1人の演技力によってこの映画を傑作に導いた凄さを称して、主演男優賞に推薦。
主演女優賞: 二階堂ふみ
作品名:『 翔んで埼玉 』

流行語大賞にもノミネートされたコメディ映画「翔んで埼玉」。
多くの方がご存知の通り、映画の内容としては、埼玉県を中心とした関東地方北部の内輪ネタのオンパレードなのだが、これだけ内輪ネタとおふざけが過ぎても映画として成立し、なおかつ感動すら覚えるような名作に仕立て上げられたのは、主演である二階堂(およびGACKT)の演技力の賜物であると言えるのではないだろうか。
なお、主演女優賞ではあるが、この映画で二階堂氏が演じているのは男子生徒役である。
性差を飛び越えてギャグ漫画の登場人物を愉快に、かつ感傷的に演じ上げ、ストーリーテリングに寄与した点はあっぱれだ。
助演男優賞: ビル・スカルガルド
作品名:『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
2017年に公開され、世界中でホラー映画史上稀にみる大ヒットを叩き出したスティーブン・キング原作映画の待望の完結編。
この映画を象徴するものはやはりピエロのペニーワイズ役ビル・スカルガルドの怪演と絶大な存在感だろう。
実はこの映画、TVドラマとして既に実写化されたことがあり、その際は「ロッキー・ホラー・ショー」等で有名なティム・カリーが同役を演じていた。
ティムの演じるペニーワイズは当時番組を観ていた多くのこどもたちにトラウマを焼き付けた。
しかしスウェーデンの名優ビル・スカルガルドは、そんな恐怖の存在をアップデートしてみせた。
見た目が異なるだけでなく、彼の放つフレーズや所作のひとつひとつは、絶妙に滑稽で、奇怪で、不愉快。1作目でも十分すぎる存在感を放っていた彼だが、続編でそれを上回る名怪演を見せてくれた。流石としか言いようがない。
助演女優賞: アンガーリー・ライス
作品名:『 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 』
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開後に満を持して公開されたMARVEL版スパイダーマン映画の第2弾。
彼女の役どころに関してはネタバレ防止のため詳細には記載しないが、ヒロインのゼンデイヤに負けじと存在感を放っていたのは間違いない。
私個人としてはこの映画を観る直前に偶然Netflixドラマ『ブラックミラー』で主演を務めていた彼女を観たのだが、そのドラマではかなり陰のある暗い少女という役だったのに対し、本作では快活でマセた優等生という対照的な役柄だった。
2作品間で、同一人物とは思えないほど印象が異なっていた彼女。その演じ分けの巧みさから彼女が間違いなく名女優になるであることを確信した。
脚本賞:『 リチャード・カーティス 』
作品名:『 Yesterday 』
“ビートルズがいなくなった世界”で、自分だけビートルズを覚えていたシンガーソングライターに巻き起こる出来事を描いた映画。
その設定自体がすでに面白そうでしかないのだが、Mr.ビーンなどで知られる脚本家リチャード・カーティスは、その設定を活かしコメディとして仕上げつつも、どこか深みのある映画として作品全体を仕立て上げた。
例えば、主人公が自分の曲としてビートルズの名曲たちを録音し直すシーンでは、観客もまるで自分がジョン・レノンやポールマッカートニーになったかのような高揚感が感じられる。
また、その他にもビートルズを知っている人なら誰もが胸を打たれるだろうシーンも随所に登場する。
設定の秀逸さと、その設定を最大限に活かすアイディア、そしてビートルズへの愛に満ち溢れた素晴らしいシナリオは、彼にしか描けなかっただろう。
最後に
今回紹介した作品や俳優の中には、アカデミー賞のノミネートと重複しているものもあれば、そうでないものもあっただろう。
アカデミー賞には毎年数多くの作品や俳優、映画製作者がノミネートされるが、その中で受賞するのはたったひとつ。
第92回アカデミー賞授賞式の結果を見て、何故この作品や俳優、監督が受賞しないのかと不満を持ったり、疑問を持ったりすることがあるかもしれない。
しかし、世間的な評価と個人的な評価が必ずしも一致しないのは確実で、世間的な評価もその時々で定義する”世間”によって変わるものだ(アカデミー賞とカンヌ、ベネツィア、ベルリン等の国際映画祭で受賞する作品が異なるように)。
そんな時、自分なりのベスト、オンリーワンを考えてみることで、そういったモヤモヤした気持ちを解消することが出来るかもしれない。

StartHome編集部

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