みなさんはこの男性をご存じだろうか。

そう、イギリスの大人気コメディドラマシリーズ『Mr.ビーン』にてビーン役を演じる俳優ローワン・アトキンソンである。

すでに多くの方が知っているようにMr.ビーンの人気はすさまじく、2012年にロンドンオリンピックが開催された際にはMr.ビーンとして開催式のパフォーマーを務め、世界中で大反響を呼んだ。

在りし日のチャップリンさながら、世界中でコメディアンの象徴的存在として認識されている彼だが、ロンドンオリンピックでのパフォーマンスを最後に「50代でこんな幼稚な役を演じるのは切ない」とビーン役からの引退を表明した。

しかし、もうMr.ビーンの姿を観ることができない、と悲しむのはまだ早い。彼にはMr.ビーンではない、もう1つの顔があるのだ。

それが「ジョニー・イングリッシュ」である。

伝説のスパイ?「ジョニー・イングリッシュ」とは何者か

『ジョニー・イングリッシュ』シリーズはこれまたロンドンオリンピックでパフォーマンスも披露された大人気スパイ映画『007』のオマージュとして製作された映画シリーズである。

2019年までに全3作品が公開されている大人気シリーズで、ローワンはイギリスの諜報機関MI7のエージェントである「ジョニー・イングリッシュ」を演じる。

諜報機関のエージェント(スパイ)が主役で『007』をオマージュしているという情報だけを聞けば、きっとMr.ビーンとはかけ離れたクールな映画だろうと思われるかもしれない。

しかし安心してほしい。この映画はスパイ映画であると同時に、紛れもなく完成度の高いコメディ映画である。

全3作品のストーリーの大筋は、一流のエージェントを目指すジョニーがスパイらしくクールに立ち回ろうとするが、思惑が外れて思いもよらぬ展開に陥る、というものだ。

Mr.ビーンとどう違う?

『Mr.ビーン』との違いをあえて挙げるとするならば、ビーンが常に奇天烈な行動や言動を繰り返し、周囲を巻き込んで笑いを引き起こすのと対照的に、ジョニー・イングリッシュはあくまで一流のエージェントであろうとし、華麗に振る舞おうと意識的に行動している。しかし、意図しないところでトラブルが起き、それが笑いに繋がっていく、というスタイルがジョニーの定番なのだ。

意図的に笑いを引き起こそうとしていない(少なくともストーリー上は)方が逆に面白さを引き立たせる。ウケ狙いで放つフレーズよりも、ぽっと出た天然発言の方が場を沸かす場合もあるように『ジョニー・イングリッシュ』にはキャラを作り込んだ『Mr.ビーン』とはまた違った魅力があるのかもしれない。

『ジョニー・イングリッシュ』は『Mr.ビーン』を観たことがある方も、そうでない方にも、ぜひ一度観ていただきたい作品だ。きっと嫌なことや辛いことを忘れて大笑いできるだろう。

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