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2019年もあとわずか。
一年の締めくくりの時期を迎え、何かと慌ただしい毎日を送っている人も多いことでしょう。この忙しさを乗り切れば、ゆったりのんびりできる正月休み。あと一息頑張りたいものです。

さて、そのお正月休みには帰省して、初詣をしようと予定している人もたくさんいるでしょう。特に、2020年のお正月は令和最初のお正月。これまで無事に過ごして来られたことのお礼と、来るべき新しい年がより良い年となるよう、しっかりお参りしたいものです。

日本人の常識となっている初詣ですが、そもそも初詣とはどういうものなのでしょうか?
初詣の起源は?
初詣はいつまでに行けばいいの?
お参りするときの礼儀作法は?
……などなど、きちんと説明できる人は少ないのでは?
知っているようで知らない初詣についてまとめてみたので、参考にしてみてください。

初詣の基礎知識

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初詣ってそもそもどういうもの?

初詣とは、今さら説明するまでもありませんが、その年、初めて神社やお寺に参拝し、新しい年の平安無事、家内安全、無病息災などを祈る行為です。
信仰する氏神様(鎮守様)や菩提寺などに参拝するのが一般的ですが、都市部や観光地の有名な神社仏閣の中には百万人単位の参拝客が訪れるほどの賑わいを見せるところもあります。

初詣は、いつ頃、どのようにして始まったのでしょうか。

初詣の起源とされるものの一つに、「年籠り(としごもり)」があります。
年籠りは、大晦日から元旦の朝にかけて、家を代表する家長が、その地域を守る氏神様に泊まり込み、体を清め、夜を徹して旧年への感謝と新年の豊作や家内安全などを祈り続ける行事です。平安時代の書物にも登場すると言いますから、その起源は1000年以上昔に遡ると言えます。
この年籠りが時代とともに簡略化され、大晦日にお参りする「除夜詣」、元旦の朝にお参りする「元旦詣」に分化し、この元旦詣が初詣という形になっていったと考えられています。

また、江戸時代には、その年の年神様がいる方向(恵方)にある神社をお参りする「恵方詣(恵方参り)」という習慣もあったようです。
お正月は、家の門前には門松が立てられ、鏡もちを飾ってその年の年神さまをお迎えします。おせち料理をいただいた後、恵方にある神社をお参りするのが恵方詣というわけです。
この恵方詣も、現在の初詣の起源の一つと考えられています。

初詣が今のように盛んになったのは、明治時代に入ってからのこと。
神奈川県の川崎大師への参拝客を運ぶ鉄道会社が、より多くの人に鉄道を使ってもらおうと広告コピーに「初詣」という言葉を初めて使用したことに端を発すると言われています。
これ以降、各地の鉄道会社は「初詣」という言葉を盛んに使うようになったとか。
恵方詣では、毎年方角が変わってしまい、鉄道会社の広告としてはふさわしくなかったのでしょう。

初詣に行ってもいいのはいつまで?

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初詣とは「その年初めて神社やお寺に参拝する」と書きましたが、いつまでにお参りするのが良いのでしょうか。
一般的には元旦に行く人が多いでしょうが、特に決まりはありません。いつでも、自分の都合のいいタイミングでお参りすれば良いでしょう。

それでも初詣というからには、新年の早い時期にお参りしておきたいもの。ちょうどいいタイミングは次の4つです。

1.大晦日の夜中から新年にかけて
大晦日の夜中から深夜0時をまたいでお参りすることを「二年参り」と言います。家族や親しい仲間と一緒に二年参りに出かければ、信念もハッピーになれること間違いなし。

2.元旦の早朝
何もかも新鮮な気分になれるのが、元旦早朝です。参拝客は比較的少ないので落ち着いてお参りできるとともに、冷たく張り詰めた空気に身が清められるでしょう。新年に新たな誓いを立てるのなら、ぜひともオススメしたい時間帯です。

3.正月三が日
もっとも一般的なのが、元旦から1月3日までの正月三が日。元旦を中心に人出もピークになるので、一番お正月気分を味わえるかもしれません。

4.松の内
松の内というのは、門松やしめ縄など、お正月飾りを飾っておく期間のこと。つまり「松の内=お正月」とも考えられる期間です。
この松の内は、関東では1月1日〜1月7日まで、関西では1月1日〜1月15日までとされています。
地域によって違いがあるのは面白いところですが、この松の内の間には初詣を済ましておきたいものです。

どこに行くのが正解なの?

初詣は、どこに行くべきなのでしょうか。
いろいろと迷ってしまいそうですが、実は、これにも決まりはありません。
近所でも遠くても、神社でもお寺でも、好きなところに参拝して構いません。

前項で説明したような初詣の成り立ちを考えれば、まずは自分が暮らす地域を守る氏神様にお参りに行くのがもっとも筋が通ったお参りの仕方かもしれません。さらに、先祖代々の墓がある菩提寺にもお参りしましょう。

近所の氏神様や菩提寺に初詣に行った後には、人気のあるところ、有名なところにお参りに行ってみるのがいいのではないでしょうか。初詣は1回しか行ってはダメというルールはありません。地域によっては「七福神めぐり」など、7カ所を巡るお参りの仕方もあるくらいですから。

また、江戸時代の恵方詣にならって、新年の恵方にある神社仏閣に初詣に行くのもオススメです。
ちなみに2019年の恵方は「東北東」。地図を広げて調べてみましょう。

お参りの基礎知識

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神社にお参りする時の基本的なお作法

せっかく初詣に行くのですから、きちんとした参拝マナーを身につけておきたいもの。
ここでは神社の参拝の作法についてお教えしましょう。

1.鳥居のくぐり方
神社の鳥居は、俗世間と神域を区切る結界の役割を果たしています。鳥居をくぐるときは一旦立ち止まり、一礼するのがマナーです。参拝後、境内を出るときも社殿に向き直って一礼を。

2.参道の歩き方
初詣で境内が混雑しているときは誘導員に従うことになりますが、一般的に神社の参道の中央は歩かないようにします。参道の中央は神さまが通る道(正中/せいちゅう)だからです。

3.手水(ちょうず)の仕方
神殿に進む前に、参道の途中にある手水舎(ちょうずや)で心身を清めます。手順は以下の通り。
①右手で柄杓(ひしゃく)を持って水をくみ、それを左手にかけます。
②柄杓を左手に持ち替え、同様に右手にかけて清めます。
③再び柄杓を右手に持ち、皿のようにした左の手のひらに水をそそぎ、その水で口をすすぎます。
④口をすすいだら、もう一度水を左手に流して清めます。
⑤最後に水の入った柄杓を立てるようにし、柄に残った水を流して汚れを落とし、元の位置に伏せて置きます。
この一連の動作を、柄杓1杯の水で行います。

4.拝礼の仕方
拝礼は以下の手順で行います。ここでは一般的な「二礼二拍手一礼」を紹介します。
①神殿に進み、賽銭箱の前に立ったら、小さく会釈を1回します。
②賽銭を入れ、鈴や鐘があったら小さく鳴らします。
③気をつけの姿勢から、体が90度になるくらいの深いお辞儀(礼)を二回行います。[二礼]
④姿勢を正し、両手を胸の高さくらいに上げ、肩幅程度にまで手を開いて拍手を2回打ちます。[二拍手]
⑤そのまま両手を胸の前で合わせ、心静かに祈ります。
⑥両手をおろして気をつけの姿勢に戻り、もう一度深いお辞儀(礼)をします。[一礼]
⑦最後に軽く会釈して、神前から退きます。
出雲大社など、「二礼四拍手一礼」の作法でお参りする神社もあります。

お賽銭はいくらが正解?

お賽銭の額の前に、まずはその意味や起源について。
諸説ありますが、お賽銭は元々「おひねり」だったと言われています。
おひねりとは、ご神前にお供えした白い紙で包まれた米のこと。日本人は古くから、秋に収穫された新米を、感謝の意を込めて神様に奉納する習慣を持っていました。今でも新米を氏神様に供える地域がたくさんあります。

貨幣経済が発達するにつれ、この米の代わりに金銭をお供えする風習が広まったと考えられます。
つまりお賽銭は、自分お願い事を叶えてもらうためにあげるものではなく、今日まで無事に過ごして来られたこと、あるいはお願い事が叶ったことに対して感謝の意味であげるものです。
よって、賽銭箱に乱暴に投げ入れるのではなく、静かにそっとお供えする気持ちで入れることが最大のマナーとなります。

金額については、もちろんいくらでも構いません。
諸説の中には「自分がちょっと痛い金額」や「人の気持ちが乗りやすいからお札がいい」などを推奨するものもあります。
あるいは、「5円=ご縁」「11円=いい縁」「41円=始終いい縁」「45円=始終ご縁」などと、語呂合わせから縁起のいい金額を勧める説もあります。

けれども、これらはいずれも単なる言い伝えや語呂合わせ。従う必要はありません。
あくまでも自分の財布と相談して、真心のこもった金額をお供えすることが大切です。

初詣の人気スポット

初詣に人気の神社【首都圏近郊】

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●明治神宮(東京都)

正月三が日でおよそ317万人が訪れると言われ、全国ナンバー1の人気初詣スポットです。明治天皇と皇后である昭憲皇太后が祀られている神社で、ご利益には国家安泰や世界平和なども。渋谷、原宿に近いので、参拝後は街に繰り出して楽しいお正月が過ごせます。
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●成田山新勝寺(千葉県)

広大な敷地に多数の堂塔が点在する真言宗智山派の大本山。平安時代の開山以来1000年も燃え続ける護摩の炎は、健康長寿、病気平癒、交通安全と、さまざまなご利益があるとされています。人出は毎年約312
万人とも言われます。参拝後は名物のうなぎをどうぞ。
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●川崎大師平間寺(神奈川県)

初詣が一般に広まったルーツとも言われる川崎大師は、古くから厄除けのお大師さまとして親しまれています。1月1日0時からは御本尊厄除弘法大師ご宝前において元朝大護摩供が行われます。初詣客は毎年300万人を超え、全国トップクラスの人気スポットです。
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初詣に人気の神社【関西】

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●伏見稲荷大社(京都府)

全国に3万社以上もある稲荷神社の総本宮とされるのが伏見稲荷大社です。商売繁盛や五穀豊穣の神様として、厚い信仰を集めています。近年は外国人観光客にも大人気のスポットとして注目されています。初詣には、毎年およそ277万人が参拝します。
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●今宮戎神社(大阪府)

浪速っ子に「えべっさん」の愛称で親しまれている神社です。ご利益は、開運招福・商売繁盛・交通安全など。「商売繁盛で笹もって来い」というお囃子で知られる十日戎(1月9日〜11日)には、100万人以上が訪れ、大阪の正月の風物詩となっています。
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●生田神社(兵庫県)

神戸の中心繁華街である三宮にある生田神社。神戸のルーツとも言われる神社で、縁結びの神様としても知られています。1月1日の午前0時になると開門され、宮司が打つ初太鼓を合図に新年が告げられ、楼門上では神戸太鼓も打ち鳴らされます。毎年約155万人が訪れます。
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初詣は一年のスタート

初詣について、いろいろ知らなかったことがある人も多いのでは。今回の記事を参考にして、気持ちの良い新年を迎えてくださいね。

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