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Live.meで毎週木曜日21:30~Live.meで公式配信中の弁護士 大渕愛子先生による法律相談。
今回は日本ではなかなか馴染みのない「婚前契約」についてです。

婚前契約について

婚前契約とは、夫婦ふたりの間でする約束やルールと同じ。約束事を書面にしたものです。
それでは、わたしたち夫婦のエピソードも交えながらお話しますね。
わたしたちも簡単な契約を結んでいます。
みなさん婚前契約ってご興味ありますか?

前回のLive.me(ライブミー)での配信の時に、リスナーの方からリクエストいただいたので、ご説明しますね。

婚前契約とはその名のとおり、結婚前に結ぶ契約のことです。
結婚したあとも、契約は結べるのですが、効力が弱まってしまうので、今回は結婚前の契約、「婚前契約」について、お話しますね。

アメリカやフランスなど、海外では20~30%のカップルが、この「婚前契約」を結んでいるんです。必ずしもお金に余裕のあるカップル、というわけではなくて、一般的に普及をしています。

日本ではあまり馴染みがなく、特別なひとたちが結ぶ、といったイメージがありますよね。親に反対されているけど、納得させるために契約を結ばなくてはならないとか、、

実はわたしの専門分野なので、2012年に「婚前契約書」という本を出してるんです。
宣伝しているわけではないですよ。(笑)

古くからある形の夫婦、つまり、男性が外で働いて、女性は子供を育てて、男性の収入で生活する、という形を前提として、民法はできあがっています。

そして、離婚するということも今ほど多くなるとは想定されていない制度の中で、わたしたちは生きているのですが、現代は共働きの家庭が半数以上ですし、女性の収入も家庭の中で活かしていく時代に変化しています。
ですので、契約を結んでおかないと、いろいろと不平等だったり、不自由、不都合なところがでてくるとわたしは思っているので、お互い夫婦で話し合って、どういった夫婦であろうか、ということを紙にしておくのがいいのかなというのが、「婚前契約書」の基本的な考え方です。

どんなことを定めるのか?というと、
夫婦の在り方(どんな夫婦でありたいかなど、抽象的な理念を書いたり、仕事と家事について(共働きでいくのか、家事の分担など)を結婚前に決めたり、子育てについての役割分担を定めます。
ただ想定できないこともあると思いますので、想定できる範囲で書いておくようにします。
想定できないことに関しては、あとから追加したり、変更することもできます。

一番みなさんが重要視しているのは、「お金について」ですね。

お金については、「収入」と「支出」をどうやりくりしていくのか、ということを結婚前にちゃんと決めておきます。
また夫婦共有になる財産の範囲も決めておきます。

例えば「浮気をしたら、絶対に離婚する」などと「離婚の条件」を定めることを希望されるケースもあります。

夫婦生活を送る上で「やってはいけないこと」を決めておき、浮気をして離婚する場合の違約金や、プライバシーの侵害(携帯を見てはいけないなど)、DVに対するペナルティなど。心配なことがあればそういったことも記載しておく、ということもあります。

ですが、「離婚の条件を決めておくこと」が「婚前契約」の目的ではないんです。
どちらかというと、「共有財産の範囲を決める」ということが目的となります。

今の民法では、何も書いていない(「婚前契約」を結んでいない)と、相続したり、贈与されたりしたものを除いて、夫婦の財産というのは「婚姻後に形成された財産は、共有である」と推定されるんです。

だから、離婚をするとなったときに、分けるお金、というのは、離婚時にあったふたりの財産を合算して半分こ、ということが、法律上大原則となっているんですね。離婚の理由によっては、それでは理不尽な結果にもなりかねません。

婚前契約書はどうやってつくるんですか?というご質問をいただきましたが、「婚前契約書」の作り方は、「覚書」のような形でふたりで箇条書きにしていって署名をする、というのが一番簡単な方法です。メモ書きみたいなイメージですね。

これでも意味がないわけではないですが、その内容がきちんと法に合っているものなのかどうかを確認したい際には、弁護士に依頼して契約書の形式にしてもらう方がいいでしょう。
そして「契約書」の形式でも十分法的な効力を持つのですが、さらに「公正証書」という形にすると、「公証人」が作成して公に証明してくれるので、いっそう効力が強くなります。

婚前契約において、効力を強めていくには3段階ですね。

1:メモ書き(覚書)に署名
2:弁護士作成の契約書
※ご本人が契約書作成等詳しければ、本人たちで作成してもOK
3:公正証書
この3番目の公正証書が一番効力が強いです。

あとどのような内容を書いてもOKか?、というとそういうわけではありません。
やはり日本の法律は、家庭に関してわりと規定が強いんですね。強行法規というか。
ですので、「一回でも浮気をしたら離婚をします」と契約書に記載していたり、「浮気といっても、手をつないでいただけでも許せないので、離婚します」と契約書に書いていたとしても、それは法的にまだ離婚すべき時期に至っていない、と判断されて離婚できない場合があります。

日本の法律では、「離婚の理由」というのが限定されているんです。
もちろんお互いが合意すれば、離婚することはできますが、合意しない場合に「離婚すべき」と法的に判断が下るのには、わりと限定された理由が必要となります。

そういうときに契約書があるから何でもその通りになる、とは限らないんです。
そういう意味では、やはり弁護士の先生に聞いて、「この内容は契約書に盛り込めるのかどうか」をみてもらったほうがよいですね。

たとえば「1回浮気したら、慰謝料1,000万」と、契約書に書いたとしても、収入などを考慮して、現実的ではない金額であれば、裁判になった際には金額が修正されてしまいます。

わたしが依頼された場合は、合理的な金額になるようにしています。法的にも認められるような金額を入れるか、それで納得できない場合は、金額は書かずにその場で判断してもらう、という形にしています。

「法的にはどこからが浮気ですか?」というご質問をいただきました。
法的には「性的関係」を持った時点からが「浮気」とみなされます。
「キスをした」、「デートをした」、「手をつないだ」などの行為は、不貞行為にはなりません。

なぜお金の分担を決めるのが大切なのかというのをわたしが思うのは、お金の分担を決めずに結婚生活をスタートすると、「相手はこう思っている(当然男性が出す、と思っている)」や、逆に「もう一方は、折半だと思っている」など、わりと認識が違っていたりするものなのです。

そして、状況によって、後々収入の変動があったり変わったときにどうするのか?など、
お互いの理解がないと、不公平感が生まれてしまうんです。
ですから、お金のことで夫婦間がぎくしゃくするのはすごくいやだなーとわたしは思うんです。

それよりも日常の「子どものことをどうしよう」とか、いろいろと話し合わなければならないことがたくさんありますから、お金のことに関しては、きれいにお互い納得したうえで迷わない、もめない、という形をとって、結婚生活をスムーズにした方がいいのではないかと思います。
そういったことを決めておいた方が、結婚生活がスムーズにいくと思っています。

いろいろな事例を見てきているので、その中で「こんなはずではなかった」とか、結婚前にきちんと話していないから、お互いに期待していることが全然違うんですよね。

そういうのを見ていると、結婚前にもうちょっと話せばよかったのになと、すごく思うので、現実的なところも話し合って、結婚した方が円満に行く、と思っています。

「お金のことは奥さんに任せることに何の問題もない」と思う方もいらっしゃると思います。そのことが二人の中で当たり前のように暗黙の了解で決まっていれば、問題ないと思います。

「契約を結んでもうやむやになりませんか?」というご質問をいただきましたが、婚前契約を結んでいるというと、厳密に分けているというイメージを持ちがちですが、困ったときには、お互い様ですし、助け合いますからね。
夫婦の間には扶養義務がありますから。
ですので、困っていても見捨てる、という話ではありません。

常に相手のことを思い、協力し、扶養していく、というのが、契約では変えられない、夫婦の大原則ですから。

▼大渕愛子Profile

【生年月日】1977年8月12日
【血液型】A型
【出身地】東京都
【趣味】ふなっしー、猫、中国語、漢字
弁護士活動やママタレントとしてテレビなどを中心に活躍中

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StartHome編集部

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