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Live.meで毎週木曜日21:30~公式配信中の弁護士 大渕愛子先生による法律相談。
今回は「自己破産関係と離婚って何が大変なの?」という疑問にお答えします。

自己破産関係と離婚って何が大変なの?

今日は離婚の話がメインなんですけど、その前に前回の自己破産の話の続きをしようと思います。

「自己破産って年間、どのくらいの人数がされるんですか?」という質問で、ちょっと数字がその場では出なかったんですけど後から見てみたところ、この4年ぐらいは6万人台で推移しているみたいですね。
若干増えたり減ったりはありますが、それぐらいの規模でいらっしゃるということです。

あと、メッセージで質問して頂いた事に関係するのですが、

「自己破産すると基本的に車とか家とか手放さなきゃいけない」という話を前回したんですけど、「手放さなくていい人もいるんですか?」とか、「身近に破産した人の中でも、そのまま財産持ってる人もいますけど、どういう基準なのですか?」など、前回の配信の時も質問があって、換価価値がないと判断されて手元に残るというケースがありますという話をしました。
そうではなくて、まだ価値があるものなのに、所有しているというケースだとしたら、申告してないという可能性も考えられます。

ほとんどその破産者に対して資産があるかないかの審査というのは書面で行うんですね。
基本的には自己申告制です。

ただ、その通帳を遡ってしっかりチェックするということがあるので、給料などお金の出入りはチェックされるのでなかなか隠せないですし、書類からも出てきてしまうんです。

例えば税金が引き落とされているんだったら、これぐらい所得があるはずだとか、これぐらいの車を持ってるはずだ、固定資産税の引き落としがあるから家を持っているはずだとかそういうことも含めて割と見えてきてしまうので隠すことはできないという風に一般的に考えられています。
でも完全にどこにも出てこない財産を持っている場合には申告しなければ、バレないということがあり得ます。

あとは①自分の名義で持たないようにする  ②自己破産することが数年以内にわかっていたら自分名義では何も買わない方が良いので、親戚名義で買っておく、自分の妻名義で買っておくとか・・・対策をしている可能性も。
親族や家族の場合にまでチェックが及びませんので。

ただ、資産隠しのために自分の所から名義を変えるということをすると「それは財産隠しですね」ということで免責の決定が出なかったり、詐欺に問われる可能性もあるんです。

これは破産法上の犯罪で「破産詐欺」ですけれども、そういうものに問われる可能性もあるということで決して逃げ切れるものではないと思いますし、隠しきれるものじゃないという風に思いますが、例外的にはうまくやって隠せたり、名義を違う人にして取得するなど、そういう方法をとって資産を失わずに破産したということも考えられると思います。

 

あと、「任意の債務整理」についても質問がありましたが、「個人民事再生」と「自己破産」という、正式な裁判所を介した手続きもある中で、そういったものを介さずに、弁護士又は司法書士を通じて債務整理する方法で利息をカットしたり、3年から5年間ぐらいで分割して支払いを行えるよう交渉してもらうという方法もあります。

その場合でも信用情報、皆さんがよく聞く「ブラックリスト」と呼ばれるもの、実際はブラックリストって物があるわけじゃないのですが、信用情報上の記録に残ってしまうということありますので、当分の間は、
①クレジットカードが作れなくなる
②ローンが組めなくなる
などのデメリットがあります。

前回、5年から7年ぐらいと一般的に言われてますという話をしたんですが、10年のところもあるということで5年から7年というよりは5年から10年と言っといた方がいいと思いましたので、5年から10年と考えて頂ければと思います。

10年経っても、またその10年の間に何かちょっと信用情報を害するようなことがあればまた記録に残りますので、また延長されていくということでなかなか自己破産歴のある方がローンを組んだりすることができるようになるまでには厳しい道のりなのかな・・・という気がします。

 

ここからは、視聴者の方のコメントにお答えしていきますね。

Q:奨学金が返せなくて自己破産する例があるらしく、心が痛いです。
A:そうですね・・・。最近、「奨学金破産」というのがすごく多いというのがニュースにたくさん出ていて、社会問題になっています。
ただ、自己破産すると非常に不便にはなりますけど、でもそれで奨学金が負担になって稼いでも稼いでもお金がないっていう状態よりは、リスタートできるという意味でいいんじゃないかなと思うところもあります。

「返さなくてもいい奨学金制度」が普及すればいいですよね。

でも返さなきゃいけない奨学金の場合はしょうがないですね・・・でも本当にどうにも苦しいという時には「自己破産」や「個人民事再生」の手続きをすることをお勧めしたいと思います。

悩むよりはぜひ前向きに解決する方向で検討されるといいと思います。

では、今回の相談テーマである離婚って何が大変なの?というテーマに移りたいと思います。

離婚を多く扱ってきた経験の中で思うのは、子供がいる場合の親権・・・これが一番大きく揉めるものですね。

それにまつわる養育費といった問題も、面会交流といった問題もあるんですけれども、でも養育費は割と機械的に出る算定表というものがあって、基本的にはその算定表に従ってお互いの収入年収によって決まるので、養育費の金額で紛糾するケースはそんなに多くはありません

次に争う原因としては「慰謝料」、「財産分与」、この2点です。

でも「慰謝料」も、特に片方が一方的に悪いと言うような原因がなければ発生しないものなので、そういう意味で言うと一般的に揉めるのは「財産分与」のほうかな、と思います。

「財産分与」とは、離婚時に存在する財産を半分に分ける、という話なんですけども、それが意外と簡単ではなくて、「どこまでが含まれるか?」、「まだ言ってない財産があるんじゃないか?」とか、結婚前の財産は除くんですけど、「どこまでが結婚前の財産で、どこから結婚後なのか?」とか、結婚後の財産の中でも「これは共有財産じゃなくて、単独の財産だ」などで、争いが生じやすいです。

 

特に資産が多い方は、そこの範囲が難しいですね。
金融資産が多くて株などを多く持っていらっしゃる方ですと、資産価値は非常に高いけど、現金ではないという場合に、株を売って現金化して半分にしなければいけないのかという事になると、自分の株、事業経営者であれば、自分の会社に対して持っている株を売らないといけないのかどうかという話にも関わってきて、非常に深刻な問題に陥ることがあります。
資産が無い、子供もいないとか、親権は争わないとなるとですね、割とスムーズに行くことはあるんですけれども、後は可能性としては離婚理由があるかどうかというところで、片方が離婚したくない、もう片方は離婚したいという場合にはどうすればいいのか、というところですね。

 

Q:相手に離婚原因があって離婚が決まり、弁護士費用で100万円以上した場合、それは相手に払わせることできますか?折半になるのでしょうか?
A:弁護士費用は、基本的に相手負担にはできません。
それぞれ弁護士をつけるのでそれぞれが負担します。
弁護士との契約は自分との契約になるじゃないですか?だからあくまでも自分が払う。
それとは違い、訴訟費用といって裁判にかかる手数料があるんですけども、そちらの方は敗訴者負担が原則になっていますから、もし離婚の裁判をして、相手が敗訴して自分が勝訴したということであれば、訴訟費用自体は相手の負担にできますが、弁護士費用はそこには基本的には入ってこないんです。

よく、弁護士費用を相手負担にしたいという方がいらっしゃるので、交渉の時に相手の方にお支払いしてもらうよう交渉して、負担してもらうことになったことはありますが例外的です。

 

Q:親権は乳幼児の場合、母親が有利になるのですか?
A:そうですね。一般的にはそう言われています。
「母性優先の原則」というのですが、ただその必ずしも、その「母性」というのは母親に限らない。
だから、母性が乳幼児には必要であるというのが原則として裁判所の考え、基準の中にあり、今までは乳幼児の場合はほとんどが女性である母親が取るというのが判例になってたんですけど、男性である父親とその監護補助者であるおばあちゃんとかお姉さんだったりといった形で監護することで、子供に必要な母性を兼ね備えていますね、と判断されて、男性側に認められるということもゼロではないです。

でもやっぱり今でも母親が親権を取ることが多いとは思います。
Q:親権が重要視されるのはいつまでですか?義務教育が終わったら?
A:子どもの親権は20歳まであります。
でも、15歳ぐらいからは子どもの意思というものも非常に重視されますので、子どもが両親のどちらと一緒にいたいのか主張した場合には、それに裁判所も従う傾向にあります。

 

Q:ほとんど私ひとりで育児していて旦那に親権とられたらと思うと・・・苦しいです。
A:それはないと思います。
どちらが適切かと判断した時に、やっぱりこれまでの監護歴というのは非常に重視されてこれまで一人で頑張って育ててこられたということであれば、それでお父さんに親権が認められるということはちょっと考えられないですね。

 

Q:妻に浮気されて慰謝料を請求しようとしたんですが、逆に財産分与でマイナスになってしまうと弁護士さんに言われて泣き寝入りしました。
A: 浮気をされても財産分与で多額の財産を渡さなきゃいけないのは、すごく理不尽に思いますよね。

私も何件かそういう案件を受けた事があって、片方に明らかな非があるのに、非の無い方が財産を持っていたり収入があったりした場合、財産分与で財産を渡さなければいけないのは非がなかった方なんです。慰謝料を300万円請求したところで1000万円の財産分与をしなければならなかったら700万円渡さなれればいけないことになってしまうのです。
そういうケースも多々見ているので、結婚後の財産が基本的に全て共有財産になるというのは、私はちょっと理不尽じゃないかなと思っています。
ですから婚前契約で共有財産の範囲を定めておくことを推奨していますし、ご相談に来られた方にはそういう方法がありますよ、とお伝えしているのですが、あまり広まっていないですね・・・。離婚を経験して理不尽な思いをされた方は「次は絶対婚前契約を結びます!」とおっしゃっています。
婚前契約を結ぶとちょっと冷たい印象になるのですが、夫婦が助け合うことや支えあうのは当然なんですよ。そう民法で定められてますから!

扶養義務と協力義務があることは当然の前提で助け合うんですけども、それにプラスアルファしてまず共有財産である範囲をどこまでにしますか、という話を婚前契約に定めておきましょうとか生活費をどうやって分担するか定めておきましょうというだけで、決して相手をその範囲でしか助けないとか責任を限定するようなものではないです。
常に夫婦が助け合うのは当然の前提なので、婚前契約はとても理にかなったものだと思ってるんですけどね・・・。

実際、最近、婚前契約も増えてはいるんですけど経営者の方が多くて一般的に普及してるかというとそうでもないなという印象ですね。

▼大渕愛子Profile

【生年月日】1977年8月12日
【血液型】A型
【出身地】東京都
【趣味】ふなっしー、猫、中国語、漢字
弁護士活動やママタレントとしてテレビなどを中心に活躍中

▼配信について
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