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すっかりラブレター代筆専門業のようになってしまったが、過去には、人事としての経験を生かし、就職相談をおこなっていたことがある。ぱらりぱらりとではあるけれど、就職活動中の学生さん、そして、現在所属している会社に対して不満ないし不安を抱える社会人から、相談に乗ってほしい、という話を受けた。

ちなみに、当時就職相談は、たしか、60分1,000円で請け負っていた。”たしか”と書いたのは、なんとなくで価格を決めているので記憶に残りにくいのと、ころころと変わるため、記録としても残りにくいためだ。

それはさておき、既に就業をしている社会人からの相談として、もっとも多かったのが、副業、いわゆるパラレルキャリアについての相談だった。本を出版させてもらったり、メディアにぼちぼちと出演させてもらう機会があったりと、パラレルキャリアを優雅に謳歌しているように見えてのことかもしれないが、とんだ思い違いで、”業”といえるほど生業としては成立してないし、”キャリア”と云うには成長、成功とはあまりに縁遠い。

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それでも、ネットという海の奥深く、生身の体では到底たどり着くことのできない水深に埋もれている僕のサイトを見つけ出し、わざわざ連絡をもらったということで無下にはできない。よって、毎回話は聞かせていただくようにしている。

お会いすると、大方の人が、副業案を僕に提示し、「どうでしょう?」と訊いてくる。
そして多くの場合、「そうですね・・・、本業に専念されたほうが・・・」と伏し目がちに応えることになる。

誤解のないようことわっておくと、副業のビジネスとしての角度に難を示しているのではない。そんなことがわかるほど、賢しい人間ではない。

ただ、どの人も、本業以外にやりたいことがあって、という温度ではなく、本業がイヤだから、ということがありありとわかるため、それならば本業に専念されたほうが・・・という理屈だ。

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誰が何をしようが自由ではある。自由ではあるけれど、限られた人生における有限の時間を副業に割くのであれば、やりたいこと、楽しいこと、気持ちが昂ることをした方がいい。そうでないのであれば、イヤだろうが、つらかろうが、生活の根幹をなす本業に執着をした方が得策というものだ。

最近、副業、複業、パラレルキャリア、というものがやたらもてはやされている気がする。
そして、きみもパラレルキャリアしたほうがいいよ!という類のメッセージをネット上でよく見かけるたびに、違和感を覚える。
そもそも、副業やパラレルキャリアは、ルールや常識に縛られない自由で多様な働き方なわけで、それに対して、パラレルキャリアしちゃいなよー、と推奨するのは、自由の押し付けに過ぎない。本末転倒だ。

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話が逸れたので、元に戻す。
「本業に専念されたほうが・・・」という意に反して堅実な回答をされた相談者は、総じて、「そうですか・・・」と、サンタクロースの存在を否定された子供のような、残念、というよりは、悲痛な表情を浮かべる。

結果、罪悪感を覚えた僕は、「あの・・・、相談費用は結構ですので」とお金で罪悪感を打ち消そうとすることになる。そればかりか、時に「あ、大丈夫です。ここは僕が払いますよ」と、コーヒー代もお支払いする。

限られた人生における有限の時間を副業に割き、結果として、実入りはゼロ。
僕に、パラレルキャリアについての相談を持ち掛けることが、そもそもの間違いと云えるだろう。

<プロフィール>

kobayashisan

小林慎太郎。1979年生まれの東京都出身。
ITベンチャー企業にて会社員として働く傍ら、ラブレター代筆、
プレゼンテーション指導などをおこなう「デンシンワークス」(dsworks.jp)を運営。
●著書
(インプレス社)

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【連載】恋文横丁 ~ラブレター代筆業の日々~ Vol.1”自分勝手”な想い
【連載】恋文横丁 ~ラブレター代筆屋の日々~ Vol.2「男って…」
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