30この時期になると健康診断で採血をしなければならないという人もいるだろう。雇用時健診・一般的期健診・特定健診などの健康診断の内容にもよるが、採血では多くの場合3本の容器に血液を採取する。各容器(スピッツ)のサイズやキャップの色が異なることに気づいているだろうか。今回は健康診断でよく使用されるスピッツの種類と違い、またどのような検査が行われているのかについて現役看護師が説明する。

そもそも採血のスピッツにはどんなものがあるのか

注射器

まずは健康診断で使用されるスピッツの種類、どんな検査ができるのかを聞いてみた。血液の検査機関も多数あり、それによって使用されるスピッツは異なるが、採血量はほとんど変わらないという。

キャップが茶色のスピッツ

肝臓や膵臓、腎臓の機能や血液中の電解質のバランスなどが判定することができます。検査項目数にもよりますが、10ml程度の血液量が必要となります。スピッツの底に白いゼリー状のようなものが溜まっていたり、血液が固まりやすくする作用のある円盤状の紙のようなものが入っているもの、また、なにも入っていないものなどもありますが、茶色のキャップ・フタがあるのは共通のようです。

キャップが紫色のスピッツ

このスピッツで行える検査は、ざっくり言えば“貧血の検査”です。赤血球数・白血球数や種類・血小板数などが判定できます。2ml程度の血液量が必要となります。スピッツ内には白い粉が入っています。紫キャップのスピッツの粉はスピッツ内で血液が固まらないようにするための薬剤です。血液が固まってしまうと検査ができないため再度採血が必要になることもあります。

キャップが灰色のスピッツ

このスピッツで行えるのは“血糖値の検査”と思ってもらってかまいません。2ml程度の血液量が必要となります。灰色キャップのスピッツにも白い粉が入っています。この粉は血液が固まらないようにしたり、血液中の糖が変化しないようにします。

「ひとつの容器じゃダメなの?」という疑問を持っていた方もいらっしゃるかもしれませんね。このようにスピッツには血液を固めたリ、固まらないようにしたりという違いがあるためスピッツを分ける必要があるのです。

健康診断の結果… 意味が解らない!

medica

3種類のスピッツの特徴と、検査できる内容について大まかに解説しました。検査結果をもらっても、普段聞くことがないような単語ばかりで「何が何だかわからない」という方も多くて当然だと思います。血液検査の項目とどのようなリスクがあるのかについて、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

肝臓の機能の項目

・AST(GOT)・ALP(GPT)

これらはとくに肝臓の細胞に多く含まれており、肝臓がダメージを受けて障害される肝臓の細胞のAST・ALPが血液中に流出します。つまりこれらの値が高いと肝臓が受けているダメージも大きいということが考えられるため、肝臓機能の評価として代表的な項目となります。

・γ―GTP

肝臓のダメージが大きい場合もですが、胆管が狭くなったり閉塞した際に値が上昇します。この値が高いとアルコール性肝障害・薬剤性肝障害・胆管結石・脂肪肝などの可能性があります。

脂質の項目

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪という項目があります。これらの項目が正常範囲より高い場合は動脈硬化などのリスクが高くなります。

血糖値・糖尿病に関する項目

・空腹時血糖(BS)

採血があるときには「検査前は食事を摂らないで」といわれますが、これは血糖値の上昇を抑えるためでもあり、採血時の血糖を測定します。“空腹時であることが前提”で採血・測定を行いますので、食事や間食後に採血をすると血糖値が高く出てしまい、正確な値が出ないことや“血糖値が高い”と判断されてしまいます。糖尿病や膵臓の病気の判断材料のひとつとなるので、正確な値が出るように検査前の食事や間食は控えましょう。

・ヘモグロビンA1c(HbA1c)

空腹時血糖は採血時の血糖値がわかりますが、ヘモグロビンA1cは“1~2か月前の血糖の平均”がわかります。糖尿病の人が採血前に絶食をして空腹時血糖を下げてきても、ヘモグロビンA1cの値が高いことで普段の血糖コントロールができていないことがわかったりします。このように空腹時血糖は採血時の血糖値に影響されるので正常値であっても、ヘモグロビンA1cが高ければ糖尿病の疑いがあります。

今回は健康診断での採血について、3つのスピッツの種類と検査項目についてまとめました。当然ですが、必要だから3本も採血を行っているのです。採血の際にはどうしても緊張してしまいますが「あ、このスピッツは…」と興味を持って採血を受けると緊張も少しはほぐれるかもしれませんね。余談になりますが、スピッツには薄く横線が入っているものもあります。その線は「この線まで血液を入れてください」のサインです。極稀に「血液が足りずに再検査」ということもありますのでそういったところも確認してみるとおもしろいかもしれませんね。

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