コミュニケーション記事アイキャッチ

世の中のどこの会社もそうだと思うのだが、何一つ問題を抱えていない会社はなく、大なり小なり、どこかの部署で、どこかのチームで、誰かと誰かの間で問題が起こっている。もちろん、弊社もその例に漏れないわけだが、つくづく思うのは、問題の大半は「コミュニケーション」であるということ。

■上司が指示したことが適切に実行されていなかった。

■ 情報共有がなされていなかったがために、損失が発生した。

■ 期日までに仕事が終わっていなかった。

■ 人間関係の不和が生じる。

…等々。

多くの問題はコミュニケーションに帰結する

一見すると別問題のようだが、Why? Why? Why?と掘って行くと、多くの場合、コミュニケーションの問題に帰結する。
意思疎通が図れていなかった。正確に意向が伝わっていなかった。そもそも会話がない。問題の根本はシンプルだ。そのことはすなわち、コミュニケーションがいかに重要か、そしてまた、コミュニケーションを円滑に取ることがいかに難しいかをあらわしている。

新卒や中途採用の面接をしていると、「コミュニケーション能力に自信がある」という応募者の方によく出くわす。その真意を確認すると、大体の場合、コミュニケーション能力がある=流暢に話すことができる、憶することなく誰とでも話すことができる、ということだったりする。たしかに、それらもコミュニケーション能力であることは間違いないが、一面でしかなく、すべてではない。コミュニケーションは、もっと広く、もっと深い。

コミュニケーションに関する興味深い言葉

かつて、コミュニケーションについて、こんな言葉を教わったことがある。

Said≠Heard
→言ったからといって、聞いてもらえたわけではない

➋Heard≠Listend
→聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではない

➌Listned≠Understood
→聴いてもらえたからといって、理解してもらえたわけではない

➍Understood≠Agreed
→理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではない

➎Agreed≠Convinced
→賛成してもらえたからといって、納得して、行動しようと思ってもらえたわけではない

はじめて聞いた時は、なんだか理屈っぽいな…と鼻白んでいたが、今は、深く共感する。補足として、また、自分の中での整理という意味でも、➊~➎に対して1つ1つ解釈を加えていこうと思う。

➊Said≠Heard
→言ったからといって、聞いてもらえたわけではない

第一段階ではあるが、ここでつまずいている人は意外に多いと感じる。
「言ったよね?」「言わなかったっけ?」。社内でよく聞かれる言葉。この問いはあまりに一方的。「言った」からといって相手が「聞いた」とは限らない。声が小さすぎて言葉が耳に届いていなかった可能性だってあるし、周りの音にかき消されて届いていないことだってある。メールであれば、送ったからといって相手が見たという保証はどこにもない。メールを送った後、「メールを送ったので確認してください」「メール読んでくれた?」などの声がけくらいは必要ではないだろうか。

コミュニケーションは双方向なものなので、言葉やメールを一方的に放り投げて終わり、とはいかない。
言ったからといって、聞いてもらえたわけではないのだから。

➋Heard≠Listend
→聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではない

音として聞いてもらえたからといって、言葉として聴いてもらえたとは限らない。いくら声が大きくても、早口でワアワア言われたのでは何を言っているのかわからない。聴こえない。メールであれば、だらだらと長い文章を書かれても、文字としては目に入ってくるが、脳に情報としては入って来ない。

言えばいいというものではない。相手に聞き取れるようにゆっくりと、丁寧に。
書けばいいというものではない。相手が読みやすいよう、端的に、見やすく。
聞いてもらえたからといって、聴いてもらえたわけではないのだから。

➌Listned≠Understood
→聴いてもらえたからといって、理解してもらえたわけではない

言葉として耳に入り、情報として目に入った。それで終わりかというと、そうではない。まず、理解できるような言葉、表現をちゃんと使っているだろうか?
相手がわからないような専門用語や、難しい表現を使ってはいないだろうか?

相手に理解してもらうためには、相手が理解できる言葉、表現を使わなければならない。日本語を解さない外国人に、日本語で必死に話しかけても何も伝わらない。言葉を解さない赤ん坊に、言葉を必死に投げかけても何も伝わらない。

そしてもう1つ。
自分の前提知識と、相手の前提知識は合っているだろうか?
相手もこの情報は把握しているだろう、と思い込んで伝えていないか?
言葉と知識を合わせることで、はじめて相手に正確に物事を伝えることができる。聴いてもらえたからといって、理解してもらえるわけではないのだから。

➍Understood≠Agreed
→理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではない

理解してもらったその次に何が必要か?自分の意見や考えに賛成してもらう必要がある。賛成してもらうためには何が必要か?自分の言葉に説得力、納得感を持たせなくてはならない。

自分の言葉は論理的に破綻していないか?
相手が疑問を挟む余地はないか?
首を縦に振らせるだけの納得感はあるか?

よく考えて、ちゃんと設計して、伝えよう。
理解してもらえたからといって、賛成してもらえたわけではないのだから。

➎Agreed≠Convinced
→賛成してもらえたからといって、納得して、行動しようと思ってもらえたわけではない

伝えることの最終目的は、相手を動かすこと。
クライアントに自社製品をプレゼンする意味は何か?購入してもらうためだ。
賛成してもらっただけでは不足。最後、相手に行動をしてもらう必要がある。

車が動くためには燃料が必要であるように、人が動くためには熱が必要だ。
理屈や論理だけで動くほど人は単純ではない。
キング牧師の言葉が人々を突き動かしたのは、彼の言葉が論理的だったからか?そうではない。”I have a dream”の一言に、熱が、意志が、こもっていたからだ。

理屈だけで動くほど、人は単純ではない。そこには熱も必要。意志や夢と言い換えてもいい。賛成してもらえたからといって、行動しようと思ってもらえるわけではないのだから。

Said(言った)からConvinced(納得)にたどり着くためには、ここまでの行程が必要になる。簡単には伝わらないし、簡単には賛同を得られないし、簡単には人は動かない。

コミュニケーションは、難しい。

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kobayashi

kobayashi

小林 慎太郎 こばやし しんたろう 1979年東京都出身。立教大学社会学部卒。SIerにてエンジニアとして従事。 その後、サービス業界において人事部門などを経験した後、 2013年キングソフト入社。2018年8月より、人事や総務、経理といった管理部門管掌の取締役を務める。