中国・清華大学の教職員が詐欺事件で1760万元(2億8千万円程度)騙し取られたと話題に。金額が大きいのも要因の1つだが、名門大学とはいえ教職員(教授か講師か明らかにされていない)が、なぜそんな大金を持っているのか。そして大学の先生なのになぜ振込み詐欺にあってしまったのか誰もが気になってたまらないようだ。その事件はごく普通の振込み詐欺だったという。公的部門の職員と称し「セキュリティリスクがある口座から残高を指定の“安全残高”に移せ」と指示する手口だそう。

 

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そんな大金を所有しているって本当にありえるのか

被害者の住む団地は北京でもそこそこ良いとされ、不動産を売って大金を手にしたと推測する人も多数。しかし、ここはかつて北京大学と清華大学が職員に支給した集合住宅(いわゆる社宅)で、物件の二次売買は原則禁止されている。かつ被害者は現在もここに住んでいることから不動産を売ったわけではないようだ。

さらに調べると、被害者は別の不動産を売り1760万元の一部を作ったということが判明した。いわゆる「学区物件」で、相当いい値段がするところらしい。中国、特に北京と上海では学校へ入学するには近くに住所を持っていることが条件だ。そのため、いい学校の周囲にある物件は一番高い。そのような物件は「学区物件」と呼ばれて、確かに不動産価格がまだそれほど高くなかった時期に入手しておけば、相当儲かることになる。

また、ネット上では、「堂々中国一の大学で数十年働いたこの国で最も優秀な層で1760万元持つのに何がおかしい?」「社会に何も貢献できていない芸能人や企業経営者ばかりが大金を持つについて何もおかしいと思わないくせに一番重視すべき人材がそこまで儲からないことこそおかしんだよ」というようなコメントも少なくない。

なぜ被害にあってしまったのか

ごく普通といわれても、振込み詐欺もそう簡単なものではない。中国では、先端技術を使い着信表示番号を本当の公的機関の番号に変える詐欺グループが存在する。切り口もさまざまで、クレジットカードや銀行口座に問題があるという「伝統的な」方法のほかには、公安部門のドラッグディーラー対策部門の取締りに口座が犯罪者に悪用されている詐称するケースもある。ただ、いずれのケースでも、ある程度被害者の情報を事前に把握している必要がある。

個人情報はどうやって漏洩されたのか

今回のケースで1番疑われているのが、被害者が物件を売った不動産代理店だといわれている。不動産を販売する場合、全ての個人情報を中間業者にも提供する必要があり、中間業者から情報が漏れたら大惨事になるわけだ。中国では名簿業者が全面的に違法だとされている反面、実際の取締りがあまりされていなく、既に相当の規模になっているといわれている。

「一般市民が詐欺事件に対する警戒心がまだまだ足りない、自分にも被害が発生する可能性があるということを認識していない人が多い」と警察関係者。「警察は、過去に振込み詐欺事件についての説明会を高齢者市民向けて開催したことがあり、数百万元を騙し取られた被害者に自らその被害の詳細を共有してもらったが、参加者が他人事として雑談や笑ったりと、誰も真剣になっていなかった」

中国が公開したデータによると、年間の振込み詐欺の被害金額は数百億元で、事件解決し被害者に戻されたお金はわずか20万元(約300万円)程度だという。

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StartHome編集部

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