以下の例は平成24年頃に実際に起きたことなのだが、その時の事情に沿って記述するので現在の実情と異なる場合は平にご承知おきいただきたい。

ソフトウェアの開発を行っていた当時の勤務先は、納品物となるプログラムコードを納品したにも関わらず、支払い日を過ぎても支払いがされないという状況になった。社長は2週間後に支払いに応じてくれる発言をしていたのだが、ここでも期日通りに支払われず、やむを得ず支払督促を行うことにした。

もしも未払いが発生したら

フリーランサーでも会社員でも労働には対価が支払われるのが当然だが、そうでない場合もある。それが「未払い」と呼ばれるものだ。これが支払われない場合、とりあえず電話して請求書を再送する。こういった場合に時々耳にするのが、フリーランサーなどが「請求書が来るのが遅かったから払わない」と言われて支払いが遅れる場合だ。下請け賃金法によると、請求書が未着などの理由による支払いの遅れはできないことになっている。もし未払いになった場合、まずは「私はこの人に請求をしている」という事を郵便局に証明してもらう必要がある。「裁判起こすほどの金額でもないし…」という時は、未払いに対し簡易裁判所に申し立てる「支払督促」という制度がある。

証拠を手に入れる
まず、未払いが起こったら相手の登記簿を取って会社の登記上の所在地や代表者を確認する。現実と違う場所や人物を登記している場合があるからだ。次に申し立ての根拠を揃える。内容が給料ならば就業規則や通帳のコピー、相手が法人ならば契約書を揃えておくといいだろう。もし受発注に関する契約書無しで作業した場合、やりとりのメールと、受け取り素材、試作品や途中成果物、納品物を用意すれば認められる可能性が高くなる。自分が途中段階の成果物を持っていて、製品が現実に販売されていれば、納品した根拠になりやすいからだ。

これが揃うのであれば、一度弁護士に相談するのが良いだろう。
個人であれば、市役所など法律相談を受けられる場合もあるし、会社であれば中小企業振興公社では弁護士相談を受ける事もできる。ここで揃えた資料を見せて、内容的にOKであれば、内容証明を送ることとなる。

手続きの最初は内容証明郵便から
内容証明は個人名義でも弁護士名義でもよい。心理的な効果は弁護士に頼んだ方が高いかも知れない。
写真のような文面を作り、郵便局で「内容証明郵便」「受け取り証明」と指定して発送する。これには余計なお金がかかるが、内容証明を送っても相手が払わなければ、この費用も支払い督促の時に請求することができる。

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しかし、そもそも未払いをするような相手は、初めから払わないつもりのである事が多いと思う。極論、支払わないつもりで未払いしている会社は、よほどハートが弱くない限り、内容証明だけでは支払わないだろう。

いよいよ申し立て開始

払われない場合は簡易裁判所に行って支払督促のための書類をもらって記入する。
また用意するものがいくつかあるので、以下に記載する。

・支払督促申立書
裁判所でもらえる。これには基本的な申立の内容を記入する。
ちなみに、もともとの請求金額の他、送料や書類の交付代も請求できる。
今回は自分も相手も法人なので、登記簿謄本がそれぞれ必要なので、合わせて4900円上乗せで記載。

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・請求の趣旨
簡易裁判所でもらえる書類に記載する。
何の請負をした、いくらの金額か、いつ支払いのはずか、などの状況を簡潔に書く。
遅延損害金の請求も記載できるとのことだ。一般的には、年5%という説明だった。

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・当事者目録
これも裁判所でもらえるが、PCで作成してもいい。
自分と相手の名前、住所、連絡先を記載する。これは登記簿に合わせて書く必要がある。20170324123
・裁判所に事件の内容を説明できる資料
今回の場合は、相手方に送った内容証明の控えを使った。
・宛名ラベル
通知をもらうための自分宛のものが2枚。相手宛のものが1枚必要となる。手書きでもいいが、PCでラベル用紙に印刷した方が楽だろう。

・印紙1500円分…この金額は督促の金額により変わる。本件では30万円未満だったので、1500円とのこと。
・官製はがき1枚…自分に通知をもらうのに使うハガキ。
・切手1200円分…120円は自分に封筒を送ってもらうための切手。1080円は相手先に送ってもらうのに使う。これも上乗せして請求できる。
・角2封筒1枚…自分に書類を送ってもらうための封筒。
・登記簿謄本…相手会社の物が1枚。自分が法人であるならそれに加えて、自分の登記簿謄本も1枚。自分が個人なら必要ない。

以上が必要なものとなる。
これを簡易裁判所に持っていくと受理してもらえ、だいたい一週間ほどで督促が発送される。支払い督促発送通知発送されると、裁判所から「督促を送達しました」という通知が来るのだが、これでも支払われない場合、次の手順で使う事になるので大切に保管しよう。
それでは、次回後編ではこの後の手続きについて解説する。

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StartHome編集部

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