「結局、東芝の何がどう問題になってるんだ?」このように感じている人も多いのではないだろうか。ご存じのように、ここ2~3年というもの東芝のガバナンスを巡って数々の問題が噴出してきている。不正会計問題、業績不振、事業の売却…報道が多くて、整理しないと理解できないほどだ。日本人であれば誰もが知っている「東芝」が、存亡の危機に立たされている。今回は、以下のような疑問に答えてみたい。
・東芝にはどのような問題があるのか?
・「ガバナンスの問題」とはどういうことか?
・なぜ事業を矢継ぎ早に売却しているのか?
・これから東芝はどうなってしまうのか?

東芝にはどのような問題があるのか?

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東芝を巡る問題は、「不正会計問題」と「巨額損失問題」の二点に集約される。2015年に発覚したのが、歴代トップを含めた組織的関与による不正会計問題である。発覚しただけでも、2008年から2014年にかけて、社長ら経営陣が各事業(カンパニー)に対して無茶な利益目標を押しつけた結果、現場では利益の水増しや今期の費用の先送りなど数字の操作が常態化。実態を反映しない「黒字」が公表され続けていたのである。もう一つは、不正会計問題を受けて経営陣が刷新された後に噴出した「巨額損失問題」である。東芝では、ドル箱の半導体事業とともに原子力事業を柱としてきた。しかし、2006年に買収したアメリカ企業「ウェスチング社」において、2011年の原発事故以降経営が悪化。アメリカでの原発工事の遅れによって、2016年には7125億の損失を計上する見通しとなったのである。丹念で7000億以上の損失を出した結果、東芝の資本が食いつぶされて一時的に自己資本がマイナスになる事態に陥った。このまま2016年度末まで債務超過が続くと、東証の基準により1部から2部に指定替えされ、ますます苦境に陥ることになる。

「ガバナンスの問題」とはどういうことか?

ガバナンスの問題とは、要するに東芝の企業経営が機能不全に陥っているのではないか、という外部からの疑念である。これだけ大きな問題が立て続けに出るとなると、社長の個人的な資質にとどまらず、企業組織全体が機能できていない、という判断となる。例えば不正会計問題は、一部の事業や個人による部分的な問題ではなく、むしろ経営トップが積極的にそそのかして実行させた組織的な問題だった。不正に歯止めをかけるような仕組みが、東芝には全くなかった。また、巨額損失問題は経営層の判断が全く誤っていたことを証明している。外部役員の増加やROE(自己資本利益率)を重視した経営などがガバナンス改革として謳われたものの、企業の目は濁ったまま誤りを繰り返した。このように、問題の本質が組織にあると考えるのが「ガバナンスの問題」論と言える。

なぜ事業を矢継ぎ早に売却しているのか?

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巨額の損失で失われた資本を増強し、債務超過を防ぐためである。債務超過になると、東証2部へ鞍替えとなってしまう。それを避けるためにも、なりふり構わず事業を売却する必要があった。例えば、2015年度には医療機器子会社をキヤノンに、白物家電子会社を中国の家電メーカー「美的集団(マイディアグループ)」に売却済み。しかし2016年にも続けて巨額の損失を計上する見込となったため、主力のメモリ事業を分社化して株式の大部分ないしすべてを売却するとされている。

これから東芝はどうなってしまうのか?

2017年3月3日時点で、2016年度中の株式売却は難しい状況とされている。そうだとすると、2016年度は債務超過に陥ることがほぼ確実である。2017年度の早い段階に株式を売却して債務超過を解消できれば、支援する銀行側としては問題ないとの声もある。しかし、年度末の債務超過によって東芝は東証2部へ降格してしまうことになる。最大の問題児である原子力事業を切り離せればベストだが、当然経営が苦しくリスクの高い事業を買ってくれる企業はそうはない。このまま債務超過を解消できなければ、「倒産」の2文字も現実味を帯びてくる。ただし、現実的には19万人もの社員を抱える巨大企業の倒産による社会的影響を鑑みて、国や銀行がスクラムを組んで支援に乗り出す可能性が高い。そうは言っても、コストカットのために大幅なリストラや早期退職が求められることになりそうだ。

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