名作を「聴こう」~朗読チャンネル~

無料の動画配信アプリ「Live.me‐ライブミー‐」で一風変わったコンテンツの配信をしているのをご存知だろうか?
動画配信アプリは昨今いくつかあるが「たぶん、これはLive.meにしか無い」という渋すぎるコンテンツがある。
「朗読チャンネル」という。内容はもちろん名前そのままのコンテンツだ。
このチャンネルは、毎回女性声優が名作小説を朗読し、その後書評を行うというもの。
今回は現在レギュラー配信している「黒蜥蜴(作/江戸川乱歩)」の書評を対談形式でお送りする。

「黒蜥蜴」江戸川乱歩
語り 山田夏帆
書評 小林慎太郎 梅木千世

▼あらすじはこちら
https://goo.gl/7CCAl4

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江戸川乱歩の名作「黒蜥蜴」

【梅木】この時間は、この本の書評をさせていただこうと思います。
初めての方もいらっしゃると思うんですが、私梅木千世と、小林慎太郎さん、この二人で話してみたいと思います。では、小林慎太郎さんです。

【小林】はい、小林です。よろしくお願いします。

【梅木】おそらく今聞いていただいている人にとっては、そもそも僕らが何者なのかすらわからないと思うのですが、このチャンネルを運営しているのが、私梅木といいます。
そして文章家ということでご参加いただいた小林さんと、二人で進めていきます。
ところで、小林さんは今回朗読する作品でもある「黒蜥蜴」は読んだ事ありますか?

【小林】そうですね。江戸川乱歩自体、初めてですね。

【梅木】現時点では、第二章まで朗読を聴いたのですが、人を殺してしまった青年が、非常に気味の悪い出来事に巻き込まれるというシーンから始まります。

【小林】そうですね。ただただ気味の悪い・・・。

【梅木】そうですね。ここまでだとただ単に”気味の悪い”作品で終わってしまいますよね。

【小林】はい。

【梅木】美しい女性に連れまわされて大学の医学部の死体を安置しているところですかね、そこに連れて行かれるところというシュールな場面ですが、ここまでの感想ってどうですか?

【小林】黒蜥蜴というタイトルもそうですし、マダム、黒衣婦人という呼び名もとにかく、ちょっと繰り返しになるんですけど、今のところ面白いとかハラハラするとかいうよりも、とにかく気持ち悪い感じですよね。

【梅木】あー、そうですね。でも江戸川乱歩作品はわりと全般そういうとこがあるんですね。ほかの作品でも結構そうです。

【小林】江戸川乱歩ってあれですよね。怪人二十一面相もそうですよね。ああいうイメージとしては、結構こう、なんでしょうね、わくわくハラハラという感じだったので、まぁ江戸川乱歩ってそういうイメージを持っていたんですけど、ちょっとこれ(黒蜥蜴)は今のところずいぶん違うかなという印象を持ってますけど。

【梅木】そのご感想はかなり的を得ていると思っていまして。江戸川乱歩作品の中には、この黒蜥蜴のような大人向けの作品と、怪人二十面相のようにわりと江戸川乱歩の中では少年少女向けの作品があります。少年探偵団シリーズっていうものがあって、その中に出てくる悪役があの怪人二十一面相というキャラクターです。

【小林】つまり両方あるっていう事ですね。

【梅木】そうですね、江戸川乱歩というこのペンネームにはいろいろな意味があるんです。本日読んでいただいた語り手の夏帆ちゃんからも気になっていたようなんですが、この当時の推理作家というのは欧米の推理小説がもともと根底にあって、それが日本に輸入されてきた話が多いんですよ。江戸川乱歩にも欧米の古典推理作品の、まぁなんというか日本向けに選考したというものが結構出てきます。その作家がエドガー・アラン・ポーというアメリカの作家がいて、そこからもじって江戸川乱歩というペンネームになったそうです。

【小林】んー名前もいいですね雰囲気があるというか。そうなんですね。

【梅木】影響が出ているというのは作品の中でも認めていて、江戸川乱歩シリーズを読んでいると海外の作家の名前、たとえば推理をしなきゃいけないような場面のときに、「ポーの作品だとこういう場面だな」というセリフとして出できて・・・。

【小林】へーそうなんですね。

【梅木】なので”アメリカとかヨーロッパの作品から来てるんだよ”ていうことを認めているみたいな感じですね。しかし言葉のセンスが、ちょっと昭和っぽいというか。

【小林】そうですね、なるほど。

まぁこれ以降あると思うんですけど、推理小説なのかミステリーなのか、これってどういう感じなんですかね?

【梅木】・・・この作品は・・・アクションミステリー?みたいな。

【小林】アクションなんですか?

【梅木】これ自体は江戸川乱歩の代表作みたいなもので、映画にも舞台にもなっていますが・・・。

【小林】そうですよね。なんとなく知っています。

【梅木】わりと爆発とかします(笑)

【小林】そうなんですか(笑)

【梅木】本当に見たことないんですね?

【小林】ないですね。

【梅木】ちなみに邦画って好きですか?

【小林】好きですよ。この「黒蜥蜴」に関しても、三島由紀夫も出演する形で、映画化されてたっていうのはなんとなく知ってたんです。

【梅木】そうなんですね。あとこれ言うと意外と面白いんですけど、帝都物語という映画で加藤保憲という登場人物わかりますかね?

【小林】細長い顔の?

【梅木】あごの長いというと失礼なんですけど、江戸川乱歩の映画のシリーズによっては明智小五郎を演じているのが嶋田久作さんという役者の方がいたりするんですね。その人物は加藤保憲と同じ役者さんが演じていたりします。

【小林】そうなんですね。

【梅木】嶋田久作さんって加藤のイメージが強すぎで、なにやっても加藤に見えるという(笑)

【小林】そうなんですね。

【梅木】なんか(何の作品でも)六芒星が出てきそうな感じですね。

あと、この小説1934年昭和9年が初出という事で、言葉づかいがところどころ古いんですよね。「クライム」って言っているのは正式な出版物だと犯罪と書いてクライムって読んだりします。

細かいところだと、明智小五郎が御茶ノ水のアパートにいたりとかですね、アパートメントという言葉がかっこいい時代なんですね。そういう言葉のセンスの違いがあります。

【小林】そうなんですね。この黒蜥蜴っていうのはタイトルに使われていることもあって、マダムの刺青として彫られているなど、印象的なものとして出てきていると思うんですけど、これってのちのち、作品を象徴するようなシンボルになる感じですか?

【梅木】シンボルになっていきます。この黒衣婦人のイメージを象徴するのが、この黒蜥蜴の刺青だったり。

【小林】なるほど。個人的には、作品そのものもさることながら、80年とかそれぐらい前に、こういう世界観を描く人っていう江戸川乱歩っていうその人自身が気になるという部分があるんですけど、どういう人なんですかね。

【梅木】んー、どういう人なんですかね?独特なセンスの人なのかなと。

【小林】そうですよね。ちょっと余談になるんですけど、私の出身大学の敷地内に江戸川乱歩の旧邸宅があったので、存在自体親近感はあったんですけど。

【梅木】そうなんですか!!ちなみに、どちらに?

【小林】立教大学の構内にあるんですよ。多分だれでも入れると思うんですけど構内には。だから読んでいないんですけど、親近感がある感じではあったんですけどね。

【梅木】なんかまつわるものがあるんですかね・・・。それで(話を戻すと)美輪明宏さんが(黒蜥蜴を)好きらしいですね。黒蜥蜴の舞台として一番有名なのが、美輪明宏さんの舞台です。

【小林】確か、三島由紀夫さんが美輪明宏さんに役をやってもらいたくて、黒蜥蜴という舞台を作ったんですよね?

【梅木】へぇー、そうなんですね?それは知りませんでした。

【小林】それをなんかの著書で書いてあって、たしかに美輪明宏さんのイメージと黒衣婦人ってマッチしますよね。江戸川乱歩は美輪明宏さんを意識してないと思うんですけど。はまり役だなと思います。

朗読チャンネルについて

【梅木】このチャンネルの多くの視聴者は、夏帆ちゃんを知っている人たちだとは思うんですが、マイナー企画として今後とも細々と続けていけたらなと思います。

【小林】至近距離で朗読されているのを聴いて、すごい迫力だなと思いました。世界観に入りこみましたね。すごかったですね。

【梅木】謎解きみたいなのもこのあと出てくるんですけど楽しみに続けていけたらなと思います。夏帆ちゃんはなにかありますか?

【山田】私も小説は読んだことがなかったので初めて原稿いただいて読んだんですけど、まぁ面白い。現代のクライムって言っちゃうとか、キメ台詞が場面ごとに出てくるのが私の中二心をくすぐるというか、同世代の人にも読んでほしいなと思いました。

【小林】ちょっと気になったのが、作品の最後の最後で犯人が明確になるのかなと思ったら、そうではなく、最初の段階で読んでる側にとっては犯人が明確になるんですね。

【梅木】そうですね。それは非常によいポイントをついています。

江戸川乱歩作品すべてではないんですけど、わりと多くの作品が最初から犯人がわかっているんですよ。読者に犯人が分かっているのに、なんでこうなったのかわからなくなるという。今回でいうと黒蜥蜴が初めからどうするこうする言っちゃってるにも関わらず、その通りに進んでいかないので、何で進んでないんだ?っていうのを楽しむのが黒蜥蜴を含む江戸川乱歩がいくつかの作品の楽しみ方ですね。

【小林】聞いてて、今日で終わりなのかなと思ったんですけど、最後の最後でなんかこの先があるぞみたいな・・・。

【梅木】この黒蜥蜴(緑川夫人というのは偽名なんで黒蜥蜴と呼ぶしかないんですけど)その場の機転の速さがおかしくって、その場で見破られて焦るんですけど、そこでへこたれない。その場その場で切り抜けていくという。

【小林】面白いなと思ったのが、最初明智小五郎が余裕な感じで、婦人の方が焦っている感じだったんですけど、時間が経つにつれ、立場が逆になり、明智小五郎の方が焦ってくるという。そしてまた逆になり、と、立場が逆転してくのがすごく面白いなと思ったんですけどね。

【梅木】そうですね。ちなみにこの黒蜥蜴の設定年齢は30歳ちょっとぐらいの女性なはずですね。

【山田】大人の女性ですね

【梅木】「こんな30歳いないだろ!」と。

物語はまだまだ序盤

【梅木】さて、ここまでのトリックだけをきいて、どうですか?

【小林】ここまでだと、まあまあありえるかなと。自分の予想を超える感じではないですけど、江戸川乱歩の事なんで、こんなことで終わらないと思うんですけど。ここから色々。

【梅木】そこだけで終わってしまうと、ここまで有名な作品にはならないですよね。

【山田】私、やっと映画に近づいてきたなと思いました。映画の展開にやっとここまで追いついてきたんだなあと。

【梅木】映画だとやっぱり違うんですかね?

【山田】映画だと結構早苗さんが誘拐されるまでとか二人の会話は早い段階で行われてて。結構誘拐されてて早苗さんが戻ってきて、言っちゃっていいのかな。戻ってきてからが結構長くて映画って。

【小林】なるほど。じゃこれはまだ序盤。

【梅木】序盤の序盤ですね。

【山田】こっからたぶん面白くなるというか。

【梅木】ちょっとばらしてしまうと、冒険活劇的な

【小林】えっ・・・こっから冒険活劇的に?

【梅木】トリックの応酬ではないんですが。

【山田】あんまりトリックは無い・・・。あっ、そんなことはないか。

【梅木】江戸川乱歩作品をよく読んでいる人の中だと、お馴染みのトリックなんかもあったり。

【山田】へえー。それってどれですか。お馴染みのって。

【小林】それはこれからじゃないですかね?

【山田】あっ、これからのお楽しみってこと(笑)

推理小説の定番とは?

【梅木】定番的なものと言えば、犯罪者と探偵、男性と女性の化かし合い、推理の中で伝統的なものがあって、シャーロックホームズだとホームズが探偵で、アイリーン(アイリーン・アドラー/シャーロック・ホームズシリーズの登場人物)という犯罪者の女性がいる。その形は一緒ですね。ちなみに言ってしまうと、シャーロックホームズは一回、女性の犯罪者に出し抜かれてしまう事があります。

【山田】へえー。

【小林】へえー。

【山田】それって誘惑されるとかですか。

【梅木】いや、純粋に知能で上を行く、と。

【山田】へえー。その人のほうが頭がよかったんだ。

【梅木】その人の方が頭がいいっていうより、同レベルぐらいに頭がいい人が出てきて、それがシャーロックホームズの全シリーズを通して重要な女性像となります。。

今日の話からは反れるんですけど、シャーロック・ホームズ全編を通して数少ない、ホームズを暴力的にどうにかしたとか、たとえば殴って気絶させたとかではなくて、知能的にだまくらかした、というような流れがあって、黒蜥蜴の中でも男性対女性、探偵対犯罪者っていう構成が出てきて、黒蜥蜴が明智小五郎を上回れるか?というシーンが出てきます。こういうのは推理小説の中ではちょいちょい出てきます。グラフィックス2

【山田】結構頭使って読んでます。わからなくて。

中学のとき江戸川乱歩やシャーロックホームズシリーズ、いつも図書館で借りては読んでました。久々に読もうかなって思います。

【梅木】そんな反応がくるといいですね

【小林】たしかに大人になってから読むとまた違う捉え方みたいな。

【山田】言葉でわからなかったものがわかるようになったり、読みやすくなりますよね大人になってから読むと。いいと思います。

【梅木】「いいね」いただきましたね。

【山田】ありがとうございます。

【梅木】僕の周りでもこの朗読チャンネル認められてきていて、もうちょっとやろうかと。

【山田】よかった。もうちょっとやってほしいです。

【梅木】欲を言えば夏帆ちゃん以外にも「朗読したいよ!」っていう人がいたらぜひご連絡いただけると、広めていきたいと思います。

【山田】それは梅木さんにですか。

【梅木】twitterやブログにダイレクトメッセージいただければ。

【山田】ぜひお願いします。

【梅木】こうやって誰か出ない?って言うと、たまに出るという人がぽろっと出てきたり。

「また読みたくなった」とか「私も朗読したくなってきた」という人がいたら、やった甲斐があったなと思いますね。

【山田】そうですね。うちの父が江戸川乱歩好きなんですけど、黒蜥蜴読んでるよって言ったら、そんな難しいのやっているのかって。

【小林】難しいんですか、これは?

【山田】お前は何役をするんだ?って言ってきて「全部だよ」って、「全部って全部なのか」「全部だよ」って、「明智小五郎もやるのか」って。たぶん今日も見てますよ。お父上が。

【小林】ハートとか送ってるかもしれないですね。

【山田】見るだけで使い方はわかってないと思うんですけど。教えなきゃ。

【小林】あ、プレゼントのフラペチーノがリスナーさんから。
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【梅木】ひっそりやってるのに、プレゼントもらえるなんてすばらしいですね。

【小林】すごいですね。反響が。

【山田】意外とみんな朗読聴くの好きなんですかね。

【小林】確かにこの時間になると、そういう気分になるのかもしれないですね。寝る前に。

【山田】一杯しながらとか

【梅木】一杯やりながら黒蜥蜴聴きますか?

【小林】渋い。

【山田】お酒のつまみに。

【梅木】小林さんお酒飲むんでしたっけ。

【小林】僕はたまに一人で飲みに行きます。

【梅木】飲み屋のカウンターで文庫本とか読んでるとかっこいいですよね。

【小林】かっこいいですよね。さすがにそこまでしないですけど。

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Live.me朗読チャンネルは、レギュラーは現在、毎週火曜日の21時から江戸川乱歩「黒蜥蜴」を配信中。

その他、日々新しい朗読を行っているので、ぜひ一度聴いてみてはいかがだろうか?

朗読 山田夏帆
1994年4月12日生まれ 静岡県出身
プロダクション・エース演技研究所生
2011年 三原光尋監督 映画『メリーさんの電話』加代役
2013年 東京ガス 企業ラジオCM 家族の絆
ひとり暮らし篇 恨み娘篇 次回予告篇 娘の父篇
2015年 音楽配信サイト au公式snappi
その他 舞台やライブ活動など。

書評 小林慎太郎
1979年生まれの東京都出身。
ITベンチャー企業にて会社員として働く傍ら、ラブレター代筆、
プレゼンテーション指導などをおこなう「デンシンワークス」(dsworks.jp)を運営。
著書
ラブレターを代筆する日々を過ごす「僕」と、依頼をするどこかの「誰か」の話。 (インプレス社)

梅木千世
1979年生まれの鎌倉市出身。
ベンチャー企業のマーケッター。元デザイナー、Webディレクター。
その他デザイン講師、居酒屋店主、空手家、ソフトウェア開発ディレクターなど。
ブログ(URL:http://web-design.link/

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